勤務先や知人からの借金、「個人再生」するとどうなる?!

「個人再生」を検討されている方の中には、「友人や親など身近な人からの借入れがある」「勤務先からお金を借りていて、給与から毎月天引きされている」というケースもあるのではないでしょうか?

個人再生手続きをすると、「借りている友人や勤務先に知られてしまうのではないか?」「迷惑をかけるのではないか?」など、さまざまな不安があることでしょう。

 個人再生手続きにおいて、金融会社以外からの借入れはどのような扱いになるのかご説明しましょう。

■「個人再生」手続きは整理する債務を選べない

個人再生手続きは、裁判所が再生計画(債務額にもよりますが、一般的には債務を1/5もしくは最低弁済額100万円まで減額し、3年間で返済する計画)を認可することによって債務を大幅に減額できる手続きです。

個人再生の申し立てを行う場合、親や友人などからの個人的な借金であっても、消費者金融や銀行からの借金と同様に扱われ、整理する債務の対象となります。

できることなら、親や友人など身近な人には迷惑をかけたくないのが心情ですが、「友人からの借金だけ個人再生手続きから除外して、今まで通り返済していきたい」という事はできません。

当然、職場からの借金も同じです。個人再生手続きでは、すべての借金は平等に扱わなければならないのです。

■受任通知は、全ての債権者に送られる

弁護士や認定司法書士などの専門家に依頼して個人再生手続きを行う場合、全ての債権者へ「受任通知」が送られます。

弁護士や認定司法書士が債務者の代理人になったことを知らせるための通知を受任通知と言いますが、債権者が親や友人、職場など個人的な近い関係性であれば、前もって状況の説明をしておきましょう。

個人再生手続きをすることで、お金を貸してくれた人には不利益を与えてしまうことになります。今後の人間関係のためにも誠意を持って対処することが大切です。

■債務を隠すと個人再生が認められない

「勤務先に個人再生手続きを知られたくない」「友人からの借金は少額だから」などという理由から、職場や知人からの借金を隠したり、裁判所に申告したりしない場合、個人再生の手続きが認められない可能性があります。

また、個人再生の申し立て後に、親や友人など、特定の債権者に対して返済をすることを、「偏頗弁済」(ヘンパベンサイ)と言います。「偏頗弁済」は個人再生が不認可になる要因になる可能性もあります。

[偏頗弁済があった場合の対応]

万が一、親や友人だけに借金の返済をしていることがあった場合、裁判所に提出する「再生計画案」を作成し直す必要があります。偏頗弁済をした金額を「最低弁済額」(最低限支払わなければならない金額)に上乗せした額で再生計画案を作り直さなければいけません。

[給与の天引きに注意]

勤務先からの借入の場合、給与からの天引きで返済するのが一般的です。通常、債権者が受任通知を受け取った段階で天引きは止まりますが、まれに事務処理上の都合などで遅れることもあります。念のために確認をしておきましょう。受任通知が送られた後も給与から差し引かれていると偏頗弁済となる可能性があります。

個人再生には「債権者平等の原則」があり、すべての債務を平等に扱わなくてはならないというルールがあります。債務整理のご相談を頂く際に抜け漏れが無いようにご注意ください。

もし、どうしても債務整理を行いたくない債務がある場合はご相談時にお伝えください。任意整理であれば手続きを行う債務と行わない債務を選ぶことができますので、どのような解決方法がベストかを考えていきましょう。

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