時効援用は自分でできるのか?失敗するとどうなる?

時効援用とは、借金の返済義務が一定の期間を過ぎた場合に、債権者からの請求を法的に拒否できる手続きです。しかし、この手続きを自分で行うことができるのか、また失敗した場合にどうなるのか、意外と分かりにくい面もあります。時効援用を適切に行わないと、借金がそのまま続いてしまったり、逆に不利益を被ることもあります。この記事では、時効援用を自分で行う方法と、その際に注意すべきポイント、失敗した場合のリスクについて解説します。

時効援用とは?

時効援用とは、債務者が法律で定められた一定期間が経過したことを理由に、債務の消滅を主張する法的手続きのことです。この手続きにより、債務者は債権者からの請求を拒否することができます。時効援用は、民法に基づいて行われ、債務の種類によって時効期間が異なります。

2020年4月1日の民法改正により、債権の消滅時効期間が変更されました。現在、一般的な金銭債権(個人間の借金など)の場合は「権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」のいずれか早い方とされています。なお、改正前は商事債権(商業取引の場合や貸金業者からの借金)の時効期間が5年でしたが、改正後は一般の債権と同じ扱いとなりました。

時効援用を行うためには、債務者自身が文書により主張をする必要があります。単に時効期間が経過しただけでは債務は消滅しません。債務者は、債権者に対して時効が完成したことを通知し、債務の履行を拒否する意思を明確に示さなければなりません。
この手続きは、債務者自身で行うことも可能ですが、法的な知識や経験が必要となるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。時効援用は、借金問題を解決する一つの手段ではありますが、適切に行わなければ失敗する可能性もあるため、慎重に対応することが重要です。

消滅時効と起算点

消滅時効とは、一定期間が経過することで債権が消滅する制度です。この期間の起算点は、債権者が権利を行使できるようになった時点から始まります。例えば、借金の場合は返済期限を過ぎた翌日が起算点となります。

消滅時効の期間は債権の種類によって異なります。一般的な債権は10年、商事債権は5年、飲食料や宿泊料等の債権は3年となっています。ただし、2020年4月1日以降に発生した債権については、原則として5年に統一されました。

起算点から時効期間が経過しても、自動的に債権が消滅するわけではありません。債務者が時効を援用する意思表示をすることで初めて、債権が消滅したとみなされます。

時効の完成を妨げる要因として、債務の承認や一部弁済等があります。これらの行為があると、その時点から新たに時効期間が進行し始めます。そのため、時効を援用する際は、起算点と時効期間を正確に把握することが重要です。

消滅時効を援用すること

「消滅時効を援用する」とは、債務者が債権者に対して時効の利益を受ける意思を表明する行為です。これにより、債務者は法律上の義務を免れることができます。具体的な行為として、債務者が債権者に対して「時効が完成したので、債務の履行を拒否する」という意思表示をすることを指します。

時効援用は、債務者が自ら行う必要があります。裁判所や債権者が自動的に時効を適用することはありません。放置すれば成立するものではなく、債務者が時効を援用しない限り、債権者は依然として債権を主張できます。

援用の方法としては、口頭や書面で行うことができますが、後々のトラブルを避けるために、内容証明郵便などの書面で行うことが推奨されます。書面には、対象となる債務の特定、時効が完成したこと、そして時効を援用する旨を明確に記載する必要があります。

時効援用は、債務者にとって重要な権利行使の手段ですが、適切な手続きと正確な判断が求められます。時効の完成時期や援用の可否について不安がある場合は、法律の専門家に相談することも検討すべきでしょう。

時効の援用をおこなう方法

時効の援用は、債務者自身で実施することが可能です。

1.対象となる債務の時効期間が経過していることを確認する
2.時効援用通知書を作成する
この通知書には、債権者の名称、債務の内容、時効の援用を主張する旨を明記します。
3.通知書を内容証明郵便で債権者に送付する
これにより、確実に相手方に到達したことが証明されます。
通知書の送付日は、時効期間が経過した後であることが重要です。
4.通知書の送付後は、債権者からの連絡を待つ
債権者から異議が出されない場合、時効の援用が成立したとみなされます。ただし、時効の援用が成功するためには、時効期間の経過や更新事由の不存在など、いくつかの条件を満たす必要があります。

自分で時効援用を行う場合、費用を抑えられるメリットがありますが、手続きの誤りによって失敗するリスクもあります。複雑なケースや不安がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することも検討しましょう。

時効援用通知書とは

時効援用通知書は、債務者が債権者に対して時効の援用を主張するための重要な文書です。
この通知書に債務の内容や時効期間が経過したことを明記し、時効を援用する意思を明確に伝える必要があります。通常、債務者の氏名や住所、債権者の情報、債務の詳細(金額、契約日など)、時効期間の起算点と経過した期間、そして時効を援用する旨の文言が含まれます。

通知書の作成にあたっては、正確性と明確性が重要です。誤った情報や曖昧な表現は、時効援用の効力を弱める可能性があるため、注意が必要です。また、通知書は内容証明郵便で送付することが一般的で、これにより確実に相手方に到達したことを証明できます。

時効援用通知書は法的効力を持つ文書であるため、その作成と送付には慎重さが求められます。

時効援用を自分で行う具体的な流れ

時効援用を自分で行う場合、具体的な手順を押さえることが重要です。

まず、債務の時効が成立していることを確認しましょう。次に、時効援用通知書を作成します。この通知書には、債権の内容を特定し、消滅時効を援用する旨を明記します。作成した通知書は、内容証明郵便で債権者に送付します。この際、差出人の連絡先も忘れずに記載しておきましょう。

通知書を送付したら、債権者からの連絡を待ちます。この過程で注意すべき点は、通知書を送る日付です。時効期間が確実に経過していることを再確認してから送付しましょう。また、債務の内容を正確に記載することも重要です。

時効援用を自分で行うメリットとして、手続きが比較的簡単で費用も抑えられることが挙げられます。しかし、失敗するリスクもあるため、慎重に進める必要があります。

時効の成立を確認する

時効の成立を確認するためには、まず債務の発生日や最後の支払い日など、時効の起算点を正確に把握することが重要です。消滅時効の期間は債務の種類によって異なるため、該当する時効期間が経過しているかを慎重に確認します。

時効の成立を確認する際は、債権者からの請求書や督促状などの書類を整理し、最後の取引や支払いの日付を特定します。また、時効の中断事由や更新事由に該当する事実がなかったかも確認が必要です。例えば、債務の承認や一部弁済、裁判上の請求などがあった場合、時効の進行が中断または更新される可能性があります。

時効の成立が確認できたら、債権者に対して時効援用の意思表示を行います。この際、内容証明郵便を利用して書面で通知することが望ましいです。通知後は債権者からの反応を待ち、必要に応じて追加の対応を検討します。

時効援用通知書を作成する

時効援用通知書は、債権者に対して時効の援用を主張するための公式な文書となります。
書式の例は、次のようなものです。

・自分の住所、氏名、連絡先
・債権者の住所、氏名(または会社名)、連絡先
・タイトル(「時効援用の通知」など)
・借金の詳細(契約日、ローン番号、金額など)
・時効が成立した理由と時期
・時効援用の主張
・日付と署名

作成にあたっては、まず債務の内容を明確に特定することが不可欠です。借入日、借入金額、債権者名などの詳細を正確に記載しましょう。

次に、消滅時効の完成を明確に主張する文言を盛り込みます。例えば「上記債務について、民法第166条および第167条に基づき消滅時効が完成したため、ここに時効を援用いたします」といった表現が適切です。

また、差出人の氏名、住所、連絡先を明記することも重要です。これにより、債権者側からの連絡や確認に対応できるようになります。メールアドレスを追加で記載することも考えられますが、メールアドレスは法的な通知には適さない場合があるため、補助的な連絡手段として扱うべきです。

通知書の日付は、実際に発送する日付を記入します。内容証明郵便で送付する場合は、郵便局の受付日が公式な通知日となるため、その日付を記入することが望ましいでしょう。

最後に、文書全体を再確認し、誤字脱字や不適切な表現がないか十分にチェックしましょう。

内容証明郵便で時効の援用を通知する

時効の援用を通知する際には、内容証明郵便を利用しましょう。

この方法は、確実に相手方に通知が届いたことを証明できるため、後々のトラブルを防ぐ効果があります。内容証明郵便を使用する際は、まず郵便局で専用の用紙を入手し、時効援用通知書を作成します。通知書には、債権の内容、時効期間が経過したこと、そして時効を援用する旨を明確に記載します。

作成した通知書を、郵便局の窓口で内容証明郵便として発送します。この際、控えを受け取ることが重要です。この控えは、後日、時効援用の証拠として必要になる可能性があるためです。発送後は、配達証明書が届くまで待ちます。この証明書は、相手方に確実に通知が届いたことを示す重要な証拠となります。

内容証明郵便を利用することで、時効援用の通知が確実に相手方に届いたことを証明できるだけでなく、通知の内容や発送日時も明確に記録されます。これにより、後日争いが生じた場合でも、自身の主張を裏付ける強力な証拠となります。時効援用の手続きを確実に行うためには、内容証明郵便の利用が非常に効果的な方法といえるでしょう。

債権者からの連絡を待つ

時効援用通知書を内容証明郵便で送付した後は、債権者からの連絡を待つことになります。通常、債権者は時効援用通知を受け取ってから1〜2週間程度で反応を示します。この間、債権者は通知内容を確認し、時効成立の有無を精査します。

債権者からの連絡は、主に以下の3パターンが考えられます。
1.時効成立を認め、債権放棄の通知が届く場合
これが最も望ましい結果です。
2.時効成立を否認し、債務の支払いを求めてくるケース
この場合、債権者が提示する根拠を慎重に確認する必要があります。
3.債権者から何の連絡もない場合
まれにこういったケースが存在します。

債権者からの連絡を待つ間は、焦らずに冷静に対応することが重要です。債権者から電話や訪問があっても、安易に債務を認めたり、支払いの約束をしたりしないよう注意が必要です。また、この期間中に新たな支払いや分割払いの約束をすると、時効の利益を失う可能性があるので避けましょう。

債権者からの反応がない場合でも、一定期間経過後は時効の成立が事実上確定したと考えられます。ただし、債権者が裁判所に訴えを起こす可能性もあるため、時効援用通知書の控えは大切に保管しておくことをおすすめします。

時効援用をするメリットとデメリット

時効援用には、借金を法的に消滅させられるというメリットがあります。手続きが比較的簡単で、成功すれば債務から解放されます。また、ブラックリストから情報が削除される可能性もありますが、これは必ずしも保証されるものではありません。自分で手続きを行う場合、司法書士や弁護士に依頼する場合と比べて費用を抑えられる点も魅力です。

一方で、デメリットとしては、自分で行う場合に失敗するリスクがあることが挙げられます。時効期間の計算ミスや、必要書類の不備などで援用が認められないケースもあります。また、債権者との関係悪化や、モラルの観点から心理的な負担を感じる人もいるでしょう。
さらに、時効援用が認められても、過去の借金履歴が完全に消えるわけではありません。法的には債務が消滅しますが、信用情報機関の記録は一定期間残る可能性があります。これにより、将来的な信用に影響する可能性があることも考慮する必要があります。
自分の状況を慎重に見極め、メリットとデメリットを十分に検討した上で、時効援用を行うかどうかを判断することが重要です。必要に応じて、法律の専門家に相談することも検討するとよいでしょう。

借金がすべてなくなる

時効援用を行うことで、借金が完全になくなる可能性があります。法律で定められた一定期間が経過し、債権者が権利行使をしなかった場合、債務者は時効を援用することができます。これにより、法的に債務が消滅し、返済義務がなくなります。

ただし、時効援用には注意点があります。まず、時効期間が確実に経過していることが重要です。債務の種類によって時効期間は異なるため、正確な把握が必要です。また、債権者との間で支払いの約束をしたり、一部返済を行ったりすると、時効が更新される可能性があります。

時効援用には道徳的な議論もあります。借金を返済する意思や能力がある場合は、誠実に対応することが望ましいでしょう。時効援用は、あくまでも最後の手段として検討することが重要です。

ブラックリストから情報が消える可能性

時効援用を行うことで、ブラックリストから個人信用情報が消える可能性があります。通常、借金の延滞情報は信用情報機関に最長5年間記録されますが、時効援用が認められると、その情報が削除される場合があります。ただし、これは自動的に行われるものではなく、債権者や信用情報機関の対応によって異なります。

時効援用が成立すると、法的には債務が消滅したとみなされるため、信用情報機関に登録されている延滞情報を削除するよう要請することができます。多くの場合、債権者側から信用情報機関に対して、該当する延滞情報の削除依頼が行われます。

しかし、すべてのケースでブラックリストから情報が完全に消えるわけではありません。債権者によっては、時効援用後も一定期間情報を保持する場合があります。また、信用情報機関によっては、時効援用の事実自体を新たな情報として登録することもあります。

したがって、時効援用を行う際は、ブラックリストからの情報削除の可能性がありつつも、それが確実に実現するわけではないことを理解しておく必要があります。

手続きが簡単に進められる

時効援用の手続きは、個人でも比較的簡単に進めることができます。まず、時効援用通知書を作成する必要がありますが、インターネット上にある無料のテンプレートを参考にすれば難しくありません。通知書には、債権者の名称や住所、債務の内容、時効が完成した日付などを記入します。
作成した通知書を内容証明郵便で債権者に送付し、送付後は債権者からの返答を待つだけです。多くの場合、債権者から時効援用を認める旨の通知が届きます。

この手続きは、弁護士や司法書士に依頼せずとも自分で行えるため、費用を抑えられるメリットがあります。ただし、時効の起算点や更新事由の有無など、法律的な知識が必要な部分もあるため、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。

失敗する可能性がある

時効援用を自分で行う場合、失敗するリスクがあることを認識しておく必要があります。主な失敗の原因として、時効期間の誤認識や手続きの不備が挙げられます。例えば、債務の種類によって時効期間が異なるため、正確な起算点を把握していないと、時効が完成していない段階で援用してしまう可能性があります。

また、時効援用通知書の作成や送付方法にも注意が必要です。内容証明郵便を使用せずに普通郵便で送付したり、通知書の記載内容が不十分だったりすると、債権者側に正式に到達したと認められない可能性があります。さらに、債務の一部を支払ったり、債務承認をしてしまうと、時効が中断してしまうこともあります。

これらの失敗を避けるためには、法律の専門知識や経験が必要となります。自分で手続きを行う場合は、十分な調査と準備が不可欠ですが、それでも見落としや誤りが生じる可能性は否定できません。そのため、確実に時効援用を成功させたい場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
アヴァンス法務事務所は、債務整理専門の事務所であり、時効援用の事例もございます。全国から無料で24時間、電話やメールでご相談いただけますので、まずはお気軽にご相談ください。

時効援用が失敗する主な原因

時効援用が失敗する主な原因には、いくつかのケースが挙げられます。

1.時効期間が経過していないにもかかわらず援用を試みるケース
債務の種類によって時効期間は異なるため、正確な期間を把握することが重要です。
2.時効の更新事由に該当してしまう場合
債務の一部を返済したり、債権者に対して債務を承認したりすると、時効期間が新たに始まってしまいます。
3.消滅時効の完成が猶予されているケース
債権者が裁判所に訴えを提起した場合などは、時効の完成が6か月間猶予されます。

時効期間が経過していない

時効援用を行う際には、まず時効期間が経過しているかどうかを確認することが重要です。債務の種類によって時効期間は異なり、例えば一般的な貸金債権の場合は5年、商事債権は5年、不法行為に基づく損害賠償請求権は3年となっています。

時効期間の起算点は、債権者が権利を行使できるようになった時点から始まります。例えば、借金の場合は返済期限が到来した日が起算点となります。ただし、債務者が債務の承認をしたり、一部返済を行ったりすると、その時点で時効期間が更新されてしまうので注意が必要です。

時効期間が経過していないと判断された場合、時効援用を行っても効力を持ちません。そのため、債務の内容や経緯を丁寧に確認し、時効期間が確実に経過していることを確認してから手続きを進めることが大切です。時効期間が経過していない場合は、他の債務整理の方法を検討するか、時効期間が経過するまで待つ必要があります。

時効の更新事由に該当する

時効の更新事由に該当するものとは、債務者による債務の承認や、債権者による裁判上の請求などです。債務者が債務の一部を支払ったり、支払いの約束をしたりすると、債務の承認とみなされ、時効期間が新たに始まってしまいます。また、債権者が裁判所に訴訟を提起したり、支払督促を申し立てたりすると、これも時効の更新事由となります。

さらに、債権者が債務者に対して催告を行った場合、6か月間は時効の完成が猶予されます。ただし、この期間内に裁判上の請求などの更新事由がなければ、6か月経過後に時効が完成します。

時効の援用を検討する際は、これらの更新事由に該当する行為をしていないか、慎重に確認することが重要です。例えば、債権者からの電話に応対して支払いを約束してしまったり、督促状に対して返信したりすることで、知らず知らずのうちに時効が更新されてしまう可能性があります。

時効の援用を成功させるためには、これらの更新事由を理解し、債権者とのやり取りに十分注意を払う必要があります。不用意な対応で時効が更新されてしまうと、時効援用の成立を逃してしまう可能性があるため、慎重な対応が求められます。

消滅時効の完成が猶予されている

消滅時効の完成が猶予されるケースがあり、これも時効援用を行う際に注意が必要な点です。猶予事由には、裁判上の請求や差押え、仮差押え、仮処分などがあります。例えば、債権者が裁判所に訴えを提起した場合、その時点で時効の完成が6か月間猶予されます。また、債務者が債務を承認した場合も、時効の完成が猶予されることがあります。

このような猶予事由が存在する場合、時効援用を行っても効力が認められない可能性があります。そのため、時効援用を検討する際は、まず猶予事由の有無を確認することが重要です。債権者との過去のやり取りや、裁判所からの通知などを慎重に確認し、猶予事由に該当する事実がないか精査する必要があります。

猶予事由が存在する場合でも、その期間が経過した後であれば時効援用が可能となります。ただし、猶予期間の計算は複雑な場合があるため、専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。時効援用を確実に成功させるためには、猶予事由の有無を含めた詳細な状況確認が不可欠です。

時効援用に失敗した場合の対処法

時効援用に失敗した場合でも、まず、失敗の原因を冷静に分析し、適切な対処法を選択することが重要です。
一つの選択肢として、任意整理があります。これにより、利息や遅延損害金を減額できる可能性があります。より深刻な場合は、個人再生手続きを検討しましょう。この方法では、借金を大幅に圧縮できることがあります。最後の手段として、自己破産があります。裁判所の免責許可決定を受けることで、借金から解放される道が開けるかもしれません。どの方法を選択するにせよ、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

任意整理で利息や遅延損害金を減額

任意整理は、時効援用が失敗した場合や時効が成立していない場合の有効な選択肢の一つです。この方法では、債権者と交渉して利息や遅延損害金を減額することができます。通常、任意整理を行う際は弁護士や司法書士などの専門家に依頼しますが、自分で行うことも可能です。

任意整理のメリットは、債務者の返済能力に応じて返済計画を立てられることです。利息や遅延損害金の減額交渉を行うことで、返済総額を大幅に削減できる可能性があります。また、債権者との合意に基づいて進めるため、法的手続きを必要とせず、比較的スムーズに進行します。

ただし、任意整理には注意点もあります。債権者との交渉スキルが必要であり、適切な提案ができなければ減額幅が小さくなる可能性があります。また、すべての債権者と合意できるとは限らず、一部の債権者との交渉が難航する場合もあります。

任意整理を自分で行う場合は、債務の詳細な把握、返済能力の正確な算定、適切な交渉戦略の立案が重要です。専門家に依頼する場合と比べて費用は抑えられますが、時間と労力がかかることを覚悟する必要があります。

個人再生で借金を大幅に圧縮

個人再生は、借金を大幅に圧縮できる法的手続きの一つです。この制度を利用すると、債務者は収入や財産に応じて返済可能な金額を提示し、裁判所の認可を得て債務を減額することができます。通常、返済総額は借金総額の2割から3割程度になるケースが多く、返済期間は原則として5年以内とされています。

個人再生のメリットは、住宅ローンなどの担保付き債務を除外できることや、一定の財産を手元に残せる点にあります。また、会社員や公務員などの給与所得者であれば、原則として職場に知られることなく手続きを進められます。

ただし、個人再生の手続きは複雑なため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することが一般的です。また、再生計画が認可されても、定められた返済を継続できなければ再生手続きが取り消されるリスクがあります。
個人再生は、時効援用と比べてより確実に債務を整理できる方法ですが、法的手続きを伴うため慎重な検討が必要です。

自己破産で免責を受ける

自己破産は、債務者が返済不可能な状態に陥った際に、裁判所の手続きを通じて債務を免除してもらう法的措置です。時効援用や他の債務整理方法が適さない場合の選択肢の一つとなります。

自己破産を申し立てると、裁判所が選任した破産管財人が債務者の財産を調査し、換価可能な資産があれば換価して債権者に配当します。その後、裁判所が免責許可決定を下すと、残りの債務が免除されます。

ただし、自己破産には厳しい審査があり、安易に選択すべきではありません。免責許可決定が確定するまでは一定の資格制限を受けることがあり、社会的な信用に影響を与える可能性もあります。また、税金や養育費など、免責されない債務もあります。学資ローンについては、一定の条件を満たせば免責される可能性があります。

自己破産を検討する前に、債務整理や個人再生など他の選択肢も十分に検討することが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、自身の状況に最適な方法を選択することをおすすめします。

自分でやる場合と専門家に依頼する場合の比較

時効援用を自分で行うか、専門家に依頼するかは状況によって異なります。自分で手続きを行う場合、費用を抑えられるメリットがありますが、正確な知識と慎重な対応が求められます。手続きの誤りや書類の不備があると、時効援用が認められない可能性があります。一方、弁護士などの専門家に依頼する場合は、確実性が高まり、手続きの負担も軽減されます。ただし、費用がかかるデメリットがあります。専門家に依頼する場合の費用は、債務額や案件の複雑さによって異なりますが、一般的に数万円から数十万円程度です。自分で行うか専門家に依頼するかは、債務の金額や複雑さ、自身の法律知識、時間的余裕などを考慮して判断することが大切です。

自分で手続きする場合

時効援用を自分で行う場合、具体的な手順を理解し、正確に実行することが重要です。

1.債務の内容や時効期間、時効が完成していることの確認
2.時効援用通知書を作成
債権者の名称、債務の内容、時効の完成日、援用の意思表示などを明確に記載する
3.通知書を内容証明郵便で債権者に送付する
4.債権者からの連絡を待つ

自分で手続きを行う場合、費用を抑えられるメリットがありますが、法的知識が不足していると失敗するリスクもあります。時効の起算点や中断事由の有無、債務の特定など、細かな点に注意が必要です。また、債権者との交渉が必要になる場合もあるため、心理的な負担も考慮すべきです。

専門家に依頼する場合

時効援用を司法書士や弁護士に依頼する場合、やはり専門的な知識と経験を持つ人のサポートを受けられることがメリットです。時効の成立要件や援用手続きに精通しており、適切な書類作成や法的助言をすることができます。また、債権者とのやり取りも代行してくれるため、心理的な負担が軽減されます。

専門家への依頼費用は、案件の複雑さや債務額によって異なりますが、一般的に着手金と成功報酬の2段階制が多いです。着手金は数万円から10万円程度、成功報酬は債務減額分の10〜20%程度が目安となります。ただし、事務所によって料金体系は異なるため、事前に複数の専門家に相談し、見積もりを比較することをおすすめします。

専門家に依頼することで、時効援用の失敗リスクを大幅に軽減できます。専門家のチェックにより、時効期間の誤認や更新事由の見落としを防ぐことができるだけでなく、債権者からの反論や交渉にも適切に対応してもらえるため、安心して手続きを進められます。

専門家に依頼する際の費用の目安

時効援用を弁護士に依頼する場合の費用は、案件の複雑さや債務額によって変動しますが、一般的な目安をお伝えします。多くの弁護士事務所では、初回相談料として5,000円から10,000円程度を設定しています。その後、着手金として20,000円から50,000円、さらに成功報酬として債務減額分の10%から20%程度を請求することが多いです。

例えば、100万円の債務に対して時効援用を行い、全額免除された場合、着手金30,000円と成功報酬100,000円(減額分の10%)で合計130,000円程度の費用が発生する可能性があります。ただし、債務額が大きい場合や複数の債権者がいる場合は、費用が上昇することもあります。

一方で、中には完全成功報酬制を採用している事務所もあり、時効援用が成功した場合にのみ費用を請求するところもあります。このような場合、成功報酬率は20%から30%程度に設定されていることが多いです。

アヴァンス法務事務所では、全国から24時間、メールや電話でのご相談を受け付けています。女性専用ダイヤルがあるだけでなく、支払の管理・代行を行う「アヴァンス・アシスト」など、独自のサポートをご用意しております。借金にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

時効援用は借金問題を解決する一つの方法ですが、正しい知識と適切な手続きが必要不可欠です。

自分で時効援用を行う場合は、消滅時効の成立を確認し、適切な時効援用通知書を作成して内容証明郵便で送付することが重要です。ただし、失敗のリスクもあるため、専門家に相談することをおすすめします。

時効援用が成功すれば借金が法的に消滅します。ただし、信用情報機関への登録情報(いわゆる「ブラックリスト」)は一定期間残る場合があります。そのため、信用情報への影響についても事前に確認することが重要です。成功させるためには、必要書類の正確な準備や内容証明郵便の活用、債務承認に該当する行為を避けるなどの注意点があります。

時効援用は個人でも可能ですが、電話での手続きは認められておらず、必ず書面で行う必要があります。費用は自分で行う場合は郵送料程度ですが、弁護士や司法書士などの専門家に依頼する場合は別途費用がかかります。また、時効援用をしても債権者には通知が行くため、完全に秘密裏に行うことはできません。

借金問題で悩んでいる方は、時効援用を含めた様々な選択肢を検討し、自分に適した解決方法を見つけることが大切です。

アヴァンス法務事務所は、債務整理専門の事務所で、時効援用も解決事例がございます。借金にお悩みの方や、知らないところから督促状が届いて心配な場合など、まずはお気軽にご相談ください。

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