2025.05.30
時効援用
借金の時効とは?消滅時効とその条件について解説
借金が、時効によって返済義務が消滅する可能性があることをご存じですか?
TVなどで誰もが耳にしたことがある、「時効の成立」。難事件の犯人が逃げ切った・・・!というイメージの「時効」ですが、実は刑事事件だけではなく、民事上の「借金」にも時効があるのです。
時効が成立すれば債務は消滅し、支払い義務も無くなります。しかし、時効が適用されるためには、いくつかの厳格な条件や注意点があります。
この記事では、借金の時効がどのように成立するのか、「借金の時効」について解説します。
一般的にはあまり知られていない「借金の時効」とは何か、時効が成立するための条件や手続きについてご説明していきましょう。
■借金の時効とは?返済義務が消滅する仕組みと概要
借金には返済期限が法律で定められており、一定期間が過ぎると返済義務がなくなる「時効」という仕組みがあります。
消滅時効とは、一定期間権利を行使しなかった場合にその権利が消滅する制度です。債権者が一定期間、借金の請求や催促を行わなかった場合、債権が消滅することになります。
ただし、時効が成立するためには条件や手続きがあり、簡単には成立しません。
時効が成立すると債権者は法的に返済を請求できなくなりますが、時効の成立には条件や注意点があるため理解が必要です。
■借金の時効が成立する条件とは?
時効は単に期間が過ぎただけでは成立しません。債務者が「時効の援用」を行う必要があります。
時効が成立するためには、主に以下の4つの条件を全て満たす必要があります。
・一定期間(原則5年または10年)が経過していること
・時効の更新(中断)がないこと
・時効の完成猶予がないこと
・債務者が時効の援用を行うこと
[5年or10年以上返済をしておらず、請求も受けていない]
2020年4月1日以降に発生した借金については、借入先や債権の種類にかかわらず、原則として「債権者が権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか短い方が時効期間となります(民法166条)。
それ以前の借金や特殊な場合は異なる期間が適用されることもあります。
[債務の承認をしていない]
時効期間中に債権者に対して債務があることを認めることを「債務の承認」をいいます。債務の承認をしてしまうと、時効期間が中断され、振り出しに戻ります。「1,000円でいいから払ってください」と言われて応じたり、支払督促に対して「もう少し待ってください」と答えることも債務の承認にあたり、時効が中断されます。
[裁判手続きをされていない]
差し押さえや、催告など、債権者から裁判を起こされ、手続き行っている場合は時効が中断されます。裁判所の通知は原則、住民票を置いている住所に特別送達で送られます。時効期間中に債務の一部でも返済したり、債務を承認した場合、あるいは債権者が裁判上の請求など法的手続きをした場合は、時効が中断し、期間がリセットされます。
時効は自動的に成立するものではなく、債務者自身が「時効援用」を主張しなければ効力を持ちません。内容証明郵便などで債権者に対して時効の援用通知を送ることが一般的です。
■借金の時効が発生する期間とは?
借金の返済義務には「時効」という法律上の制度があり、一定期間が経過すると法的に返済の義務が消滅する制度があります。これを「時効援用」といい、債務者が法的に返済義務の消滅を主張する手続きです。
■ 借金の時効期間について
借金の時効期間は、借入れの種類や契約内容によって異なる場合がありますが、2020年4月1日以降は、借入先にかかわらず原則5年です。
・消費者金融やカードローンなどの借金:最終返済日または返済期日の翌日から5年
・銀行などの金融機関からの借金:同上
・個人間の貸借:同上
・家賃や水道光熱費の未払い:同上
・税金や一部の公的債権:別途法律で定める期間(例:国税は原則5年、例外あり)
税金の消滅時効は国税通則法等で原則5年ですが、例外も多く、公共料金も契約内容によって異なります。税金は消滅時効の援用が難しい場合もあるため、一般の借金とは扱いが異なります。税金や公共料金などの債権については、消滅時効期間や援用の可否が法律や契約内容によって異なるため、個別に専門家にご相談ください。
■ 時効援用の要件と注意点
1.時効期間が経過していること
最終返済や請求から5年以上経過している必要があります。途中で返済や支払いの意思表示があった場合、時効はリセットされます。
2.時効の援用は債務者の意思表示が必要
時効は自動的に成立するものではなく、債務者自身が「時効援用」を主張しなければ効力を持ちません。具体的には、内容証明郵便などで債権者に対して時効の援用通知を送ることが一般的です。
3.債権者からの連絡があっても時効は止まらないが注意が必要
時効期間中に債権者からの連絡があっても、返済の意思表示や承認がなければ時効は進行します。ただし、安易に支払いや返済の約束をしてしまうと時効がリセットされるため注意が必要です。
4.時効援用後のトラブル回避
時効援用をした後、債権者が不服を申し立てるケースもあります。法律的なトラブルを避けるため、専門家に相談して適切に手続きを進めることが望ましいです。
借金の時効は、借入れから一定期間が経過すると返済義務が消滅する制度であり、正しく理解して活用することが重要です。ただし、時効は自動的に成立するものではなく、債務者が「時効援用」を行わなければなりません。また、時効の期間や手続きには複雑なルールがあるため、専門家である司法書士に相談して適切な対応を取ることをおすすめします。
■時効が適用される借金の種類
時効援用とは、法律で定められた一定期間が経過したことを理由に、借金の返済義務が消滅したと主張することです。これにより、債権者は法的に返済請求できなくなります。
■ 時効援用が適用される借金の主な種類
・消費者金融やクレジットカードの借金
・銀行からの借入(住宅ローンなど含む)
・個人間の貸借(私的貸付)
・公共料金や家賃の滞納
2020年4月1日以降に発生した借金については、借入先や債権の種類にかかわらず、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか短い方が時効期間となります(民法166条)。
それ以前の借金や、特殊な場合は異なる期間が適用されることもあります。
■ 注意点
・時効期間の開始
時効期間は「最後に返済や請求があった日」または「債務者が借金を認めた日」から始まります。請求や返済があると時効はリセットされるため、注意が必要です。
・時効の援用は自ら行う必要がある
時効が成立していても、債務者が時効援用を裁判所や債権者に対して主張しなければ、返済義務は消滅しません。
・時効援用後の交渉
時効援用を主張した後も、場合によっては和解や分割返済の交渉が可能です。無理のない範囲で対応を検討しましょう。
時効援用は、借金の返済義務を法律上消滅させる強力な手段ですが、適用される借金の種類や期間は多岐にわたり、専門的な判断が必要です。借金の時効について疑問がある場合は、早めに司法書士など専門家に相談し、正しい手続きを踏むことが大切です。
■借金の時効が成立するための条件と期間の詳細
借金の時効とは、一定期間が過ぎることで返済の義務が消滅する法律の制度です。しかし、時効が成立するにはいくつかの条件を満たす必要があり、借金の種類によって期間も異なります。時効の成立を正しく理解し、適切に活用するためには、条件や期間の詳細を知ることが欠かせません。
■借金の時効の起算点とその種類
時効の適用を受けるには、法律で定められた期間内に債権者が請求や訴訟を行わなければなりません。
■ 借金の時効の起算点
借金の時効は、「返済ができる状態であるのに返済をしなかった」ことを基準に起算されます。具体的には以下のようなケースが起算点となります。
・最終の返済期日
契約書や返済計画で定められた最後の支払期限から時効がスタートします。例えば、毎月の返済が滞った場合、最後に支払うべき期日が起算点となります。
・最後の返済日からの経過期間
何度か分割払いをしていた場合、最後に返済した日から時効期間が始まることもあります。
・催告(請求)後の一定期間
債権者が正式に返済を催促した日を起算点にすることもあります。
■ 借金の時効の種類と期間
借金の種類によって時効の期間は異なります。主に以下の3つが挙げられます。
・商事債権の時効(5年)
商取引に基づく借金や法人間の貸付金などは原則5年で時効となります。ただし、運送費(1年)、商品の売買(2年)、診療報酬(3年)など、個別に短期消滅時効が定められている場合もあります。
・一般債権の時効(5年)
個人間の借金や消費者金融などの貸付金は、2020年4月1日以降の契約については原則5年で時効となります。2020年3月31日以前の契約については、原則10年が適用されます。
・特定債権の短期時効(1~3年)
医師の診療報酬(3年)、弁護士の職務報酬(2年)、飲食店のツケ(1年)など、特定の職業債権には短期の消滅時効が定められています。クレジットカードのリボ払いなど貸金業者の債権については、原則5年となります。
■ 時効を中断・停止させる要因
時効は一定の条件で中断や停止される場合があります。主な例は以下の通りです。
・債務者が一部返済した場合
返済や利息の支払いがあると、その時点から時効がリセットされます。
・債権者が裁判を起こした場合
法的手続きが始まると時効は停止され、裁判の結果によっては返済義務が継続します。
・債務者が債務を認めた場合
口頭や書面で債務を認める行為も時効の進行を止めることになります。
借金の時効は、返済義務が消滅する大切な仕組みですが、起算点や時効期間は借金の種類や契約内容によって異なります。また、時効は簡単に成立するわけではなく、中断や停止の要因も多いため注意が必要です。
時効期間の異なるケース(個人・法人など)
借金や債務の返済義務には、「時効」という制度があります。この制度を利用することで、債務者は返済義務を免れられる場合がありますが、時効の期間や援用方法は個人と法人、また債務の種類によって異なります。時効は自動的に成立するわけではなく、債務者が自ら援用しなければ効果がありません。援用は書面で行うことが一般的で、しっかりと証拠を残すことが重要です。
■ 個人の時効期間
・消費者ローンやカードローンの借金
個人が借りている消費者ローンの返済義務は、原則として5年で時効が成立します。これは「民法改正(2020年施行)」による改正後の期間です。
・クレジットカードの分割払いやリボ払い
これも基本的に5年ですが、契約内容や取引の開始時期によって異なることがあります。
・借入金以外の債務(貸金以外)
家賃や水道光熱費の未払いも、2020年4月1日以降は原則5年で時効となります。
■ 法人の時効期間
・法人が借りている借金
・法人の売掛金や請求権
法人間の取引債権も、2020年4月1日以降は原則として5年が時効期間となります。
■ 時効期間が進まない・中断するケース
時効期間は、以下のような場合には進行が止まったり、中断されたりします。
・債務者が一部でも返済した場合
・債権者が裁判を起こした場合
・債務者が時効の援用を認めた場合(支払いの約束など)
このような場合、時効期間はリセットされたり、停止したりするため、注意が必要です。裁判で確定判決が出た場合は、その債権の時効期間は10年となります(民法169条)。
時効援用は、借金問題の解決手段の一つですが、個人と法人で適用される時効期間が異なります。特に法人は商法による規定があり、長い期間が適用されることが多いため、時効を正しく理解することが重要です。
■時効の起算点が変更される場合
借金や契約などの債務に関する時効は、一定の時間が経過すると返済義務が消滅する重要な制度です。しかし、時効の起算点(時効期間のカウントが始まる時点)は、一律ではなく、状況によって変更されることがあります。
■ 時効の基本的な起算点
時効の期間は、通常「債権者が権利を行使できることを知った時」または「債務の履行期限が到来した時」からカウントされます。例えば、借金の返済期限が決まっている場合は、その期限の翌日から時効が進行します。
■ 起算点が変更される主なケース
1.支払いの承認があった場合
債務者が一部返済や利息の支払いをした場合、時効の進行がリセットされ、新たに時効期間が始まります。これは「時効の中断」と呼ばれ、借金の返済を一度でも認めると時効の計算がやり直されるため注意が必要です。
2.債務の承認や同意があった場合
債務者が書面で債務の存在を認めたり、支払いの意思表示をした場合も、時効の起算点が変更されます。たとえ支払いをしなくても、債務を認めることで時効が中断されます。
3.債権者から請求や催告があった場合
債権者が法的手続きを開始したり、請求書を送付した場合にも時効の中断が認められます。これにより、債務者は返済義務を回避できなくなります。
4.時効の停止
災害や戦争など特別な事情により時効の進行が一時的に止まることがあります。例えば、債務者が国外に長期間滞在している場合などが該当します。
■ 時効援用の注意点
・時効援用は債務者からの申し出が必要
時効が成立しても、債務者自らが「時効援用」の意思表示をしなければ返済義務は消滅しません。援用の意思表示は書面で行うのが一般的です。
・時効の起算点を正確に確認することが重要
起算点がずれると時効が成立しない場合もあります。法律や判例の知識が必要なため、専門家への相談が望ましいです。
・時効援用後の対応
時効援用によって返済義務が消滅した場合でも、債権者との関係や信用情報への影響を考慮し、慎重に対応する必要があります。
■消滅時効の援用を検討すべき状況とは?
時効援用を検討する際には、起算点の正確な把握と状況に応じた対応が不可欠です。消滅時効の援用を検討すべき具体的な状況や注意点について解説します。
■ 消滅時効の援用を検討すべき主な状況
・長期間返済の催促がない場合
借金をしてから数年以上、債権者から返済請求や催促が一切ない場合、消滅時効が成立している可能性があります。通常の貸金債権は5年(2020年4月以降は原則5年)、不法行為による損害賠償請求は3年など、種類によって時効期間は異なりますが、専門家に相談するなどの対応を検討しましょう。
・債権者から連絡が途絶えている場合
債権者が長期間連絡を取ってこない場合は、消滅時効を援用することで返済義務の消滅を主張できることがあります。
・借金の存在自体を忘れていた場合
過去に借りたお金の存在を忘れていたが、時効期間を経過している可能性がある場合も援用を検討します。
■ 消滅時効援用の注意点
1.時効期間のカウント開始日は「債権者が権利を行使できることを知った時」または「権利を行使できる時」からです。通常は返済期日や最終返済日が基準となります。
2.時効期間中に返済や債務の承認、裁判手続きがあった場合、時効は中断し、再びゼロからカウントされます。
3.裁判で確定判決が出た場合、その債権の時効期間は10年となります(民法169条)。
時効の援用は債務者からの意思表示が必要です。これを行わなければ、時効が成立していても債権者は請求を続けることができます。
上記のように、消滅時効の援用は、返済義務を法的に消滅させる有効な手段ですが、適用には期間の計算や状況の把握が必要です。長期間返済の催促がない借金や、債権者と連絡が取れない場合は消滅時効の援用を検討しましょう。自己判断が難しい場合は、司法書士などの専門家に相談し、正確な判断と適切な手続きを進めることが大切です。
まとめ
借金の返済義務が法律上消える「消滅時効」は、債務者にとって重要な権利の一つです。しかし、消滅時効が成立するには一定の条件があり、単に長期間返済しなければ自動的に借金がなくなるわけではありません。
時効期間や手続きには複雑なルールがあるだけでなく、法改正により条件が変更になるケースもあります。専門家である司法書士や弁護士に相談して正確な情報を入手し、適切な対応を取ることをおすすめします。
■ 消滅時効の基本期間
・通常の消費貸借契約(借金)
一般的な借金の消滅時効期間は、最終の返済日または最後の取引から5年です。つまり、5年間返済や請求がなければ時効が成立します。
・法定利息を伴う借金の場合
利息を含む借金については、時効期間が異なる場合もありますが、基本的には5年が目安です。
■ 消滅時効成立の主な条件
1.時効期間の経過
最終の返済や債権者からの請求行為があってから一定期間(通常5年)が経過していること。
2.時効の中断がないこと
時効期間中に以下のような行為があると時効が中断し、再び期間がリセットされます。
・債務者が借金の一部でも返済した場合
・債務者が借金の存在を認めた場合(認諾)
・債権者が裁判を起こしたり、差押えなどの法的手続きを開始した場合
3.債務者が時効の援用をすること
時効が成立していても、債務者が「時効の援用」をしなければ、債権者は返済を請求できます。援用とは、時効が成立していることを正式に主張する手続きです。
■ 注意点
・時効期間は契約内容によって異なることがある
例えば、保証債務や貸金業者からの借入れなどは異なる時効期間が適用されることがあります。
・時効が成立しても借金が自動的に消えるわけではない
時効の成立は債務者が主張することで効果を発揮します。債権者が訴訟を起こしてきた場合、時効をきちんと主張しなければなりません。
・時効の計算開始日が重要
最終返済日や債権者からの最後の請求日など、時効がいつからスタートするかを正確に把握することが必要です。
20年4月1日以降に発生した借金や債権については、借入先や債権の種類にかかわらず、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか短い方が時効期間となります(民法166条)。
それ以前の借金や、特殊な場合は異なる期間が適用されることもあります。家賃や水道光熱費の未払いも、2020年4月1日以降は原則5年で時効となります。なお、裁判で判決が出ており、確定している場合は、その債権の時効期間は10年となります(民法169条)。
■時効の成立は簡単ではない
時効が成立すると、債権者側は大きな損害になります。その為、実際に債権者は、時効援用の条件を成立させないために督促や、強制執行のための裁判手続きなどを行います。
また、時効が成立しなかった場合は、借金は当然そのまま残ります。長期間、支払わなかった借金は、利息や遅延損害金が膨れ上がり、返済状況は更に厳しくなります。もし返済ができない場合は、給与や財産の差押えを余儀なくされてしまいます。そうなる前に、債務整理を行い、生活の再建を図る方が現実的だと考えます。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」といった方法がありますが、アヴァンス法務事務所に依頼される方の約8割は「任意整理」による債務整理を選択されます。また、債務整理の手続をされる中で、過払い金の存在が明らかになり、払い過ぎた分の利息が戻ることもあります。任意整理で解決できれば、費用や損害も、少なく済むケースがほとんどです。
そのため、借金を長期にわたり延滞している場合は、アヴァンスにご相談下さい。東京や大阪のみならず、全国から24時間、メールや電話でのご相談を、無料にて受付しています。時効援用と債務整理のどちらの方法が最適な解決方法かをご提案いたします。まずはお気軽にお問合せいただきたいと思います。そして、完済までサポートさせていただきます。