自己破産をすると家族にも迷惑がかかる?家族の財産も処分される?

借金の返済がどうにもならず、自己破産を検討されている方にとって心配なのが、ご家族への影響ではないでしょうか。

テレビや漫画などの影響で自己破産をすると、なにもかも取り上げられて、ご家族の生活まで破綻させてしまうのではないか、このように思っている方も多いのですがこれは間違いです。自己破産はあくまで生活を再建させるための手段ですので、自己破産で生活が破綻してしまっては本末転倒です。

そこで、今回は自己破産がどのような仕組みなのか、また、ご家族にどのような影響を与えるのかを詳しく解説していきます。

■自己破産とは

自己破産をすると全ての借金の返済義務が免除されます。ここまではご存知の方も多いのですが、他にどのような影響があるのかを知っている方は少ないので、まずは自己破産について簡単にご説明します。

[クレジットカードや今後の借入への影響]

自己破産をすると現在利用しているクレジットカードはすべて使えなくなります。

また、信用情報機関に事故情報が登録されるため、今後、5年~10年程度は新しいクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが難しくなります(俗に言うブラックリストの状態)。

[一定の財産を処分される]

自己破産をすると、一定の財産を処分されます。処分の対象になるのは、持ち家や車など、20万円以上の価値の財産です。ただし、生活に必要な家具や家電などの財産、99万円以下の現金は残すことが可能です(裁判所の規定あり)。

[資格制限がある]

自己破産の手続き中は一部の職業に就くことができなくなります。主に弁護士、税理士などの士業の方や生命保険募集人や警備員などが該当します。ただし、資格がはく奪されるわけではありませんので、免責確定後は元の資格を活かした仕事に就くことが可能です。

[官報に公告される]

官報という国の機関紙に自己破産をした人の個人情報が掲載されます。ただし、一般の方が官報を見ることはほとんどありませんし、そもそも官報の存在すら知らない人の方多いので、あまり気にする必要はないでしょう。

■ご家族の住宅や車への影響

自己破産をすると、家族や親戚の財産にまで影響が出ると思っている方も多いのですが、これは間違いです。自己破産によって財産を処分されるのは、自己破産をしたご本人名義のものだけです。ご家族であってもご本人以外の財産が処分されることはありません。

例えば、ご家族が所有している車を普段の移動に利用していても、破産者本人の名義でなければ、その車を処分されることはありません。これは住宅の場合も同様です。ご家族名義の住宅が処分されることはありません。

ただし、財産を手放したくないからと言って、自己破産の手続きをする前に住宅や車などの名義をご家族の名義に変更するということはしないでください。財産隠しとみなされ、自己破産が認められないリスクがあります。また、最悪の場合は詐欺行為として訴えられる可能性もありますので、絶対にしないでください。

■ご家族の借入やクレジットカードへの影響

自己破産をしたご本人の借入は難しくなりますが、ご家族のクレジットカードや、ご家族が住宅ローンやカーローンを組む際に影響が出ることはありません。信用情報機関に事故情報が登録されるのは自己破産をしたご本人のみです。

そのため、ご家族のクレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンやカーローンの審査に通らない、といったこともありません。

将来、お子様が奨学金を借りる際も影響はありません。だたし、信用情報の関係で自己破産をした方が保証人になることは難しいかもしれませんのでご注意ください。

■周囲の人に知られる可能性

「自己破産は世間体が悪いからしたくない」「子供の進学や就職に影響しないか?」とご心配される方も多いです。しかし、自己破産をしたことを、債務に関係のない第三者に知られる可能性は極めて低いでしょう。

自己破産に関わるのは、「ご本人」「債権者」「代理人」「裁判所」が関係してきます。ご状況によっては「管財人」と呼ばれる人が関わる場合もありますが、いずれにしても守秘義務がありますので、第三者に勝手に破産者の情報を漏らすことはありません。

また、先程ご紹介した【官報】から自己破産したことを周囲の方に知られる可能性も低いでしょう。確かに、官報には自己破産をした人の個人情報が掲載されますが、官報は土日祝を除いて毎日発行されます。さらに、官報には自己破産をした人の情報以外にも、国の法令の公布や告示、官庁の報告と言った内容も掲載されており、一般の方がこれらの情報を毎日、隅々までチェックしているとは考えにくいです。

そのため、ご近所の方やお子様の進学先・就職先の方が勝手に調べようと思っても、恐らく難しいでしょう。もちろん、住民票や戸籍に自己破産をした旨の記載がされることもありませんのでご安心ください。

※ドラマなどでご近所の方が自己破産をした人の噂話をしているシーンをたまに見かけますが、あれは間違いです。自己破産をしたことを、ご近所の方は知りようがありません。

■ご家族に影響が出そうなケース

自己破産がご家族に影響しそうなケースとして下記の例が挙げられます。

  • ご家族が借金の保証人になっている
  • 住宅ローンのペアローンを組んでいる
  • 同居のご家族に内緒で手続きをすることは難しい

ご家族が借金の保証人になっている場合は、保証人であるご家族に請求がいきます。もし、保証人の方も返済ができない場合は、保証人の方も一緒に債務整理を検討する必要が出てきます。

また、住宅ローンのペアローンにもご注意ください。例えばご夫婦でペアローンを組んでいて、ご主人が自己破産をした場合、ご主人分の残りのローンを奥様に一括請求されたり、自宅が競売にかけられたりする可能性が考えられます。

他に、ご家族への影響を気にされている方からのご相談で「家族に内緒で自己破産をしたい」とおっしゃる方もいるのですが、同居のご家族に内緒で自己破産をすることは困難です

裁判所に申立てをする際には、家計簿や給与明細、通帳のコピー、住宅・保険関係の書類など、提出する書類が多数あります。同居のご家族に収入がある場合は、ご家族の給与明細も提出する必要があり、これらの書類を内緒で集めていただくのは現実的ではありません。

ただし、同居をしていないご家族や親戚の方に自己破産をしたことを知られる可能性は低いでしょう。

■債務整理には自己破産以外の方法もあります

住宅や車を処分されたり、ご家族が保証人になっている場合など、自己破産の影響がご家族に及ぶケースも少なからずあります。どうしても、ご家族への影響を避けたい場合は、自己破産以外の方法を選ぶことで、ご家族への影響を避けることが可能です。

お客様のお話をよくよくお聞きしていると、自己破産をしなくてもいいケースが多々あります。「借金が返せない=自己破産」だと思っている方も多いのですが、債務整理には自己破産の他に任意整理と個人再生があります。

借金や収入のご状況によってどの方法を選ぶかが変わってきます。

[月々の返済額を減らす任意整理]

任意整理は金融会社と交渉を行い、今後、返済に伴ってかかってくる利息を減免してもらい、さらに分割返済できるように交渉する方法です。概ね元金のみを36回~60回分割で返済していくことになります。これにより、月々の返済の負担を軽くすることが可能です。

任意整理は裁判所を通さないため、このような柔軟な対応が可能です。

・ご家族や職場に内緒で手続きを勧められる
・車や住宅などの財産を残すことが可能
・保証人が付いている場合など、特定の債務を手続きの対象から外せる

月々の返済額を減らすことで、借金問題を解決できる見込みがあるのであれば、任意整理での解決も可能です。

[返済額を大幅に減額できる個人再生]

個人再生は裁判所に申立てを行い、債務を概ね1/5もしくは100万円まで圧縮し、原則3年で分割返済をしていく方法です。これにより、月々の返済額を大幅に減らすことが可能です。 

個人再生には、住宅資金特別条項という制度があり、住宅ローンをそのまま残すことで、住宅を手放さずに借金問題の解決を図れます。(利用には条件があります。)

このように借金問題の解決方法は、自己破産以外にも「任意整理」と「個人再生」があります。しかし、希望すればどの方法でも選べるという訳ではありません。

任意整理も個人再生も手続き後の返済額で返済を継続していく必要があります。返済額が減ったとしても、返済を続けられる見込みが無いのであれば、手続きを行うことはできません。そのため、借金の金額が少しでも少ないうちに解決を図ることが重要です。

借金の金額が増え過ぎて「自己破産しか選べない」という状況になってしまうと、住宅や車などの財産を手放さざるを得なくなってしまいます。

そのため、借金問題は少しでも早い行動がより良い解決につながります。まず、ご自身の状況が自己破産をするしかないのか、それとも任意整理や個人再生での解決が見込めるのか、まずはアヴァンス法務事務所にご相談ください。

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