任意整理(債務整理)中にお金が必要になったらどうする?借入のリスクや注意点について解説

任意整理の手続きを進める中で、急な出費や生活費不足で「お金が足りない」と感じる場面は少なくありません。しかし、この時期の借入やキャッシングには大きなリスクが伴い、状況をさらに悪化させてしまう可能性もあります。では、任意整理中にお金が必要になった場合、どのような選択肢があり、何に注意すべきなのでしょうか。この記事では、借入の可否やリスク、取るべき正しい対処法について解説します。

「任意整理中」の段階別|借入可能性を完全解説

任意整理は「手続き開始」「和解成立」「返済中」「完済後」の4つの段階を経て進みます。それぞれの段階で借入の可能性や信用情報の状態、法的・実務的な制約は大きく異なるものです。ご自身が今どの段階にいるのかを把握することが、とても大切になります。ここでは、各段階での借入の現実と、もし借りようとした場合に何が起こるのか、具体的に見ていきましょう。

手続き開始〜和解成立前の借入制限

弁護士や司法書士に任意整理を依頼すると、クレジットカード会社、消費者金融など貸金業者や債権回収会社などの債権者には「受任通知」が送られます。これらの業者が受任通知を受け取ると、貸金業法21条1項9号や債権管理回収業に関する特別措置法18条8項により、債務者本人への直接の請求・取立ては原則として禁止されます。一方で、銀行など貸金業法の直接の適用がない債権者については、法律上の強制力ではなく自主規制等によって取立てを控える運用がされている程度にとどまる点には注意が必要です。

また、任意整理を行うと、その事実や延滞等に関する情報が「事故情報」として信用情報機関に登録されます(いわゆる「ブラックリストに載る」状態)。信用情報機関の情報は、消費者金融、クレジットカード会社、銀行など多くの金融機関が審査の際に照会するため、事故情報が登録されている間は返済能力に重大な疑義があると判断され、新規の借入やクレジットカード発行の審査は原則として通りにくくなります。

必ずしも法律上「一切借入ができない」と定められているわけではありませんが、実務上は新たな借入れができないと考えておくのが妥当です。この時期に新たな借入を試みることは、任意整理の手続きに悪影響を及ぼす可能性があります。専門家からは「新たな借金は債権者との信頼関係を損ね、和解交渉を困難にする」と指摘されることも少なくありません。

和解成立前に新規借入が発覚した場合、「他の債権者に返済できる余裕があるなら任意整理に応じる必要はない」と判断され、和解条件が厳しくなったり、交渉に応じてもらえなくなったりするリスクもあります。

この段階は、収支の見直しや家計管理の立て直しを最優先とすべき時期です。専門家の助言のもとで返済計画を立てている最中に新たな借入を重ねれば、その計画自体が破綻するおそれがあります。もし「どうしても現金が必要」という場合は、まず担当の専門家に事情を説明し、公的支援制度の利用や一時的な生活費の調整方法など、借入以外の現実的な選択肢を検討してもらうことが望ましいです。

そのため、手続き開始から和解成立前の期間は、法律上絶対に借入が禁止されているわけではないものの、信用情報や交渉への影響を踏まえると、実務的には「新たな借入は原則としてできない、またはすべきでない」段階と理解しておくことが重要です。

和解成立後の返済中における借入の現実

債権者との和解が成立し分割返済が始まっても、信用情報機関には任意整理に関する事故情報が一定期間登録され続けます。この情報は完済からおおむね5年前後は残る運用となっているため、その間は新規の借入やクレジットカード審査に通過するのは一般的に非常に難しいと考えましょう。

ごく一部の中小消費者金融や、いわゆる「ブラックOK」などと広告する業者の中には、審査基準が比較的緩く、形式的には借入ができてしまう場合もあります。しかし、その多くは上限金利ぎりぎりの高金利であったり、場合によっては利息制限法の上限を超える違法な金利を設定しているおそれもあり、返済負担が一層重くなるリスクが高いものです。

任意整理の返済中に新たな借入を行うことは、生活再建を目的とする任意整理の趣旨に反する行為と評価されかねません。返済計画の途中で追加の借金を重ねれば、当初の和解条件どおりに支払えなくなり、計画の破綻を招くおそれがあります。事情によっては、債権者から信義則違反に近い行動と受け止められ、和解の継続を拒まれたり、残額の一括請求や訴訟・差押えなどの法的手続きに移行されるリスクも否定できません。

返済中に資金不足に陥った場合は、新たな借入に頼るのではなく、まず返済計画の見直しを検討することが重要です。「少しでも借りられるなら」と安易に新たな借入に踏み切ると、和解に基づく返済と新しい返済の二重負担に苦しみ、結果的に自己破産など、裁判所を介する手続きに進まざるを得なくなるかもしれません。

完済後のブラックリスト期間中の状況

任意整理に基づく返済を完済した後も、信用情報機関には延滞や債務整理に関する事故情報とともに「完済」の情報が一定期間は登録されたままとなります。​一般に、こうした事故情報は完済からおおむね5年程度は残る場合が多く、この期間中は新規の借入やクレジットカードの審査に通過するのが難しい状態が続くと考えられています(いわゆる「ブラックリスト期間」)。​

この期間は、任意整理に基づく返済義務自体はすでに履行済みであり、債務整理に伴う法的な制約は基本的にありません。しかし、金融機関側は「過去に債務整理をしたことがある人は返済リスクが相対的に高い」と評価する傾向があるため、特に大手の金融機関やクレジットカード会社の審査は、通常よりも通りにくいことを理解しておきましょう。しかし、信用情報は一定期間経過後に順次削除される運用となっているため、完済からおおむね5年程度が経過すれば、再び通常のローンやクレジットカード審査に挑戦できるケースも多くなります。​

ブラックリスト期間中に急な出費が必要になった場合は、新たな借入に頼る前に、借入以外の選択肢を検討することが重要です。

例えば、次のような制度・方法が考えられます。
・自治体や社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度
・勤務先の従業員貸付制度や社内融資制度
・家族・親族・友人からの一時的な援助

これらは、一般の消費者向けローンとは異なり、信用情報機関の事故情報の有無だけで判断されるものではない点に特徴があります。また、デビットカードやプリペイドカード、スマホ決済などクレジット機能を伴わない決済手段を併用することで、クレジットカードが使えない不便さをある程度補うことも可能です。

完済後のおおむね5年間は、いわば「信用を再構築する期間」と位置づけることができます。​この間、安定した収入を維持しつつ、公共料金や家賃、携帯電話料金などの支払いを遅延なく続けることで、将来の信用評価にプラスになる生活実績を積み重ねることができます。特に、携帯電話端末の割賦契約(端末代金の分割払い)は、割賦販売の一種として信用情報に記録されることが多いため、これを遅延なく完済することは、将来的な信用回復に資する一歩となり得ます。​

任意整理中の借入は、どの段階であってもリスクが高く、ほとんどの場合「借りられない」か「借りるべきではない」状況にあります。ブラックリスト期間中には、クレジット利用の制限などから不自由を感じる場面も少なくありません。しかし、この期間の過ごし方が、その後の経済的な安定に大きく影響することを意識し、焦って無理な借入に走るのではなく、地道に支払い実績を積み上げて信用を回復していく姿勢が、長期的な生活再建につながります。

任意整理中に絶対やってはいけない危険行為

任意整理中の通常の金融機関で新たな借入が難しい状況に、「他に方法はないか」と焦る気持ちが生まれるのも当然かもしれません。しかし、そんな心の隙を狙ってくるのが、違法業者や悪質な個人融資です。一度手を出してしまうと、借金の負担が一気に膨れ上がるだけでなく、法的なトラブル、人間関係の崩壊、さらには犯罪に巻き込まれる可能性もあります。ここでは、任意整理中に絶対にやってはいけない危険行為について解説します。

闇金・悪徳業者からの借入|手口と見分け方

任意整理中は、信用情報機関に債務整理に関する事故情報(いわゆるブラックリスト)が登録されます。​そのため、大手消費者金融や銀行などの正規業者から新たに借入れをすることは、実務上ほぼ不可能といってよいでしょう。​そこに付け込んで「ブラックでも融資可能」「即日で現金を用意できます」といった甘い言葉で誘惑してくるのが、闇金や悪徳業者です。​

闇金の手口としては、「審査なし・ブラックOK」といった広告やダイレクトメール、SNSなどで接触してくることが多く見られます。​最初は丁寧で親切な対応を装っていても、融資を受けた途端に法外な金利を請求されるのが典型的な流れです。​

法律上の利息の上限は、元本10万円未満で年20%、10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%と定められていますが、闇金は「10日で3割(トサン)」「10日で5割(トゴ)」など、これを大きく超える異常な水準で貸し付けます。​例えば10万円を借りて10日後に3万円の利息を払う場合、単純計算でも年利換算は1,000%を超えるレベルとなります。​

闇金を見分けるポイント

・登録番号がない、または偽の登録番号を表示している
正規の貸金業者は、内閣総理大臣または都道府県知事等の登録を受けた「登録番号」を必ず表示していますが、闇金はこれを表示しなかったり、存在しない番号・他社の番号を流用したりします。​
・固定電話番号がなく、携帯番号(090・080など)のみが記載されている
いわゆる「090金融」と呼ばれる典型的な闇金の特徴であり、事務所所在地や固定電話が確認できない業者は特に注意が必要です。​
・契約書を渡してくれない、または内容が極めて不明瞭
契約条件や金利、返済方法を書面で明示せず、証拠を残さないようにするのも闇金の特徴です。​
返済方法が不透明で、現金手渡しや特定口座への振込のみを強要する

正規の貸金業者であれば、返済方法やスケジュールが書面やWEB上で明確に示されますが、そのような正式な手続を踏まない業者は違法業者である可能性が高いといえます。​

取立てと二次被害の危険性

一度闇金と取引してしまうと、返済が滞った際の執拗な取立てが止まらなくなることが少なくありません。​深夜早朝を問わず電話がかかり続けたり、職場や家族・取引先などに執拗に連絡したりするだけでなく、「返せないなら別の仕事を紹介する」などと持ちかけ、特殊詐欺の受け子などの犯罪に巻き込まれる事例も報告されています。

借りてしまった場合の法的な扱いと対応

もしすでに闇金からお金を借りてしまった場合は、決して一人で対応しようとせず、闇金対応の経験がある弁護士や司法書士といった法律の専門家に、可能な限り早期に相談してください。​

闇金業者は、利息制限法や出資法、貸金業法などに反する違法な高金利・無登録営業を行っていることが多く、その貸付契約は公序良俗違反や民法708条(不法原因給付)などの観点から無効と評価されます。​判例上も、闇金への返済については利息だけでなく元本部分も含めて返済義務がないと判断された事例があり、支払済みの元本・利息の全額を損害として請求し得るとされることもあります。​

ただし、具体的にどこまで返済義務が否定されるか、どのような返還請求が可能かは個別事情に左右されるため、専門家の助言を受けたうえで対応方針を決めることが重要です。​

個人間融資・SNS融資の罠

最近増えているのが、SNSを通じた「個人間融資」です。「#個人融資」「#お金貸します」といったハッシュタグで、見ず知らずの個人が「すぐに貸せます」「審査なし・即日OK」と呼びかける投稿が大量に見つかることがあります。

業者ではなく個人同士のやり取りに見えるため、「闇金ほど危険ではない」と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし実態は、名前を隠した闇金業者が運営していることがほとんどです。たとえ本当に個人であったとしても、法外な利息を要求したり、個人情報を悪用する目的で近づいてきたりするケースが多数報告されています。

例えば、融資の条件として、免許証や保険証のコピー、銀行口座のキャッシュカード、さらには裸の写真や動画まで要求されることがあり、これらは脅迫や詐欺、性的搾取の材料として使われるリスクがあります。お金を受け取った後に「返済が遅れたら写真をばらまく」と脅されたり、あなたの口座が犯罪に使われて自分が詐欺の加害者として扱われたりする可能性も否定できません。

SNSを通じた融資では、契約内容が曖昧なまま取引が進むことがほとんどです。LINEやDMだけのやり取りで、正式な契約書もなく、相手の本名や住所もわからないケースも多いものです。万が一トラブルになっても相手を特定することすら難しく、泣き寝入りするしかない状況に追い込まれてしまうかもしれません。

個人間融資に手を出してしまう背景には、「誰にも知られず、すぐにお金が欲しい」という切羽詰まった心理があるのではないでしょうか。しかし、そうした弱みに付け込んでくる相手は、決してあなたの味方ではありません。むしろ、あなたをさらに追い詰めようとする存在です。どんなに困っていても、見ず知らずの相手との金銭のやり取りは絶対に避けてください。

収入を偽った申込は詐欺行為

任意整理中でも、ごく一部の中小消費者金融や信販会社では、審査に通る可能性がゼロとはいえません。その際、「少しでも借りやすくなるように」と、収入や勤務先を実際よりも良く見せて申し込もうと考える方もいるかもしれません。しかし、これは重大な契約違反行為であり、内容や態様によっては詐欺罪にあたる可能性があります。

例えば、実際は年収300万円なのに「年収500万円」と記入したり、アルバイトなのに「正社員」と申告したり、無職なのに架空の勤務先を書いたりするとします。金融機関は収入証明書などの提出を求めることが多いものの、書類確認が甘い業者もあり、一時的に借りられてしまうケースもないとはいえません。

しかし、虚偽申告が発覚した際のリスクは非常に大きいです。まず、契約条件に反する行為として、契約解除や一括返済を求められる可能性があります。さらに、虚偽の申告によって融資を受けたと評価されると、詐欺罪として刑事告訴され、捜査・逮捕・起訴の対象となり、前科がつく結果になるおそれもあります。実務上も、虚偽の申込内容に基づいて融資を受けた事案で、詐欺罪の成立が認められ有罪判決となった例が存在します。

また、任意整理を依頼している弁護士や司法書士との信頼関係が損なわれることになりかねません。専門家は、本人から聴取した収入や生活状況などの情報を前提として返済計画を立てています。その一方で、虚偽の内容により新たな借入れをしていることが判明すれば、「この人の申告は信用できない」と判断されてもやむを得ず、場合によっては任意整理の受任を継続できないとして辞任される可能性もあります。

お金が必要だからといって嘘をついて借入れをすることは、その場しのぎに過ぎず、かえって後々の状況を大きく悪化させる要因になりがちです。もし収入が不安定で返済が難しいと感じているなら、まずは任意整理を依頼した専門家に正直に状況を伝え、返済計画の見直しや他の債務整理手続への切替えなど、合法的な対応策について相談することが重要です。

他人名義での借入申込は重大リスク

任意整理中で自分名義では借りられないと分かると、「家族や友人の名前を借りて申し込めばよいのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、これは決して行ってはならない行為です。他人名義を用いて実質的には自分のために借入れを行う行為は一般に名義貸しと呼ばれ、その態様によっては刑事上の犯罪に該当し得ます。

例えば、配偶者や親の名前で勝手に申し込んだり、友人に「名前だけ貸してほしい」と依頼して本人確認書類を預かり、その人名義で融資を受ける行為です。たとえ名義人本人が形式的に了承していたとしても、実態として金融機関を欺いて融資を受ける行為と評価されれば、詐欺罪などに問われる可能性があります。また、名義人の同意なく本人確認書類を用いて申込書等を作成するようなケースでは、有印私文書偽造・同行使等の罪に該当することも否定できません。

また、名義を貸した側も責任を免れられるわけではありません。契約上の返済義務は原則として名義人にありますので、あなたが返済できなくなれば、名義人のもとに督促が届くことになります。その結果、名義人の信用情報に事故情報が登録され、クレジットカードの作成やローンの利用など今後の生活に大きな支障が生じるおそれがあります。家族であれば関係が深刻にこじれ、友人関係であれば単に縁が切れるにとどまらないトラブルに発展することも十分考えられます。

さらに問題なのは、名義貸しが組織的な犯罪に利用されることです。SNSなどで「名義を貸すだけで報酬」「簡単なアルバイト」などと勧誘され、実際には特殊詐欺や振り込め詐欺の口座・携帯電話契約などの道具として使われる事例も少なくありません。このような場合には、名義を提供した側も共犯として刑事責任を問われ、逮捕・起訴される可能性があります。

任意整理中にお金が必要だという切実な事情があること自体は理解されるべきですが、他人を巻き込む形での借入れは、その人の人生や信用をも壊しかねない行為です。どれほど困っていても、名義貸しや虚偽申告といった違法・不正な手段に頼ることだけは避け、法的な範囲で取り得る対応について、専門家などに相談することが重要です。アヴァンス法務事務所では、任意整理中の新たな借り入れは、しないようにお願いしております。お困りごとがあれば、すぐにご相談いただきたいと思います。

任意整理中にお金が必要な時の安全な対処法

任意整理中でも、突然の出費が重なり「どうしてもお金が必要」という状況に陥ることも考えられます。冠婚葬祭、子どもの学費、急な医療費など、想定外の出費は誰にでも起こり得ることです。焦って消費者金融に頼ってしまうと、せっかく始めた任意整理が台無しになってしまうかもしれません。ここでは、任意整理中でも安全に資金を確保できる方法を具体的にご紹介します。

家族・親族からの援助をお願いする

任意整理中にお金が足りなくなったとき、家族や親族からの援助を思い浮かべる方も多いでしょう。「金融機関からは借りられない」「できれば利息のない方法で何とかしたい」と考えるのは自然なことです。ただし、「家族・親族からの援助は安全」と安易に考えるべきではありません。十分な注意が必要です。

確かに、家族からの援助には利息がかからない、返済時期を柔軟に相談できるといったメリットがあります。一方で、返済が滞った場合には、金銭問題がそのまま人間関係のトラブルに直結しやすいという大きなリスクもあります。特に任意整理中は家計に余裕がなく、「必ず返せる」と思っていた約束が守れなくなるケースも少なくありません。

また、「身内だから大丈夫」と口約束で済ませてしまうと、後から認識のズレが生じやすくなります。もし援助を受けるのであれば、借入額・返済方法・返済期限を明確にし、簡単でも借用書を作成しておくことが重要です。これは相手を疑うためではなく、双方の関係を守るための配慮と言えます。

家族に頼ることで精神的な負担が軽くなるどころか、「返せなかったらどうしよう」というプレッシャーが増す人もいます。その結果、返済や生活再建に集中できなくなるケースも見受けられます。

家族・親族からの援助は、どうしても他に方法がなく、返済の見通しを現実的に説明できる場合に限って慎重に検討すべき選択肢です。安易に頼る前に、まずは弁護士や司法書士に相談し、公的支援制度や返済計画の見直しなど、人間関係に影響を及ぼしにくい方法がないかを確認することも大切です。

保険の契約者貸付制度で安全に借りる

生命保険や終身保険に加入されている場合、「契約者貸付制度」を利用できる可能性があります。これは、保険契約を解約せずに、解約返戻金の一定割合内(通常80〜90%程度)でお金を借りられる制度です。任意整理中でも利用可能で、信用情報審査が不要なのが大きな特徴です。契約者貸付制度の最大のメリットは、審査がない点です。

通常の金融機関では任意整理中の新規借入が実務上ほぼ不可能ですが、この制度は自身の保険契約の解約返戻金を担保とするため、信用情報は一切関係ありません。つまり、いわゆるブラックリストに登録されていても問題なく借りられます。

返済期限も比較的柔軟です。多くの保険会社では「いつでも返済可能」とする無期限型を採用しており、契約継続中はいつ返済しても構いません。利息はかかりますが、利率は保険会社・契約内容により異なり、概ね年1〜6%程度と低水準です。貸金業法に基づく消費者金融の上限金利(年15〜20%)と比べ、格段に有利と言えます。

ただし、重要な注意点があります。借入残高と累積利息の合計が解約返戻金の一定額(契約により異なる)を超えると、保険契約が失効するリスクが生じます。例えば解約返戻金100万円の契約で80万円を借り、長期間未返済で利息が積み重なると、突然「契約失効」の通知が届く可能性があります。失効すれば死亡保障などがなくなる上、過去の払込保険料も戻りません。

利用の際は、まず保険証券を確認し、保険会社のコールセンターや担当者に連絡して「借入可能額」「正確な金利」「失効条件」「返済方法」を具体的に伺ってください。ご自身の資産を活用する安全な方法であるため、適切に利用すれば任意整理継続中の急な出費に対応できる有効な選択肢となります。また、任意整理を依頼中の司法書士・弁護士にも事前相談することをおすすめします。

生活福祉資金貸付制度の申請手順と条件

「生活福祉資金貸付制度」は、低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯などを対象に、都道府県社会福祉協議会が実施する公的貸付制度です。​任意整理中の方も対象となり得、無利子または低金利(保証人なしの場合年1.5%)で利用できるため、民間金融機関が利用しにくい状況で有効な選択肢となります。​

この制度の主な貸付種類は以下の通りです。
・総合支援資金:失業・収入減少等による生活費不足世帯向け(原則20万円/月×3ヶ月、最長20万円/月×9ヶ月)
・福祉資金:医療・介護・家賃などの一時資金
・教育支援資金:子どもの学費
・緊急小口資金:急な出費(原則10万円以内)
・不動産担保型生活資金:住宅担保型

任意整理中で収入が不安定な場合、総合支援資金や緊急小口資金の利用を検討してみましょう。

申請手順

申請は、お住まいの市区町村社会福祉協議会(社協)の窓口で行います。市区町村役場の福祉課で案内を受け、電話相談から始めるとスムーズです。社協で必要書類の説明を受け、揃えて提出します。

【主な必要書類】
・本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
・住民票
・収入証明書(源泉徴収票・給与明細・年金証書等)
・預貯金通帳の写し
・貸付申込書・理由書

任意整理中であることを申告する必要がありますが、これ自体が審査否認事由とはならず、生活再建努力の状況として考慮されることが一般的です。審査期間は通常1〜2ヶ月程度で、承認されれば指定口座に振り込まれます。返済は据置期間(総合支援資金:原則1年)を経て、月々分割(総合支援資金:最長10年)で進めます。

注意点

・多重債務が深刻で返済能力が低いと判断されると審査否認の可能性があるものの、任意整理で計画的返済中の場合は前向きに評価されやすい傾向にあります。
・連帯保証人(収入要件を満たす親族等)を立てると無利子となりますが、保証人なしでも年1.5%と低金利のため有利です。
・信用情報は直接照会されませんが、返済実績は信用情報に影響します。

利用前に任意整理担当の司法書士・弁護士に相談し、家計全体との整合性を確認することをおすすめします。この制度はセーフティネットとして有効ですので、要件を満たせば無理のない資金調達が可能です。

自治体独自の支援制度・社会福祉協議会の活用法

生活福祉資金以外にも、各自治体が独自に設けている支援制度が数多く存在します。これらは周知が不十分なため活用されにくいですが、任意整理中で経済的に厳しい場合、お住まいの市区町村の制度を調べてみる価値があります。​

代表的な制度例

・住居確保給付金
離職・収入減少等で家賃支払いが困難な場合、原則3ヶ月(要件を満たせば3ヶ月ごと2〜3回延長、最長9〜12ヶ月)の家賃相当額を自治体が家主に直接支払う制度。任意整理中でも家賃負担軽減に有効です。申請は市区町村福祉課や自立相談支援機関。​
・臨時特例つなぎ資金貸付:公的給付・貸付の申請中(生活福祉資金等)の生活費不足に対し、市区町村社協が最大10万円を無利子・無担保で貸付(公的給付決定後1ヶ月以内に原則一括償還)。審査待ち期間に活用可能。​
・子育て世帯向け支援(就学援助、ひとり親医療費助成、児童扶養手当等):低所得世帯の給食費・学用品費補助等。所得基準を満たせば任意整理中でも利用しやすく、学校・教育委員会・福祉課で申請。​

探し方と活用法

市区町村公式ホームページや福祉課に電話で相談をしてみてください。「任意整理中で生活支援制度の利用可能性は?」と尋ねると案内を受けられます。

社会福祉協議会(社協)の生活困窮者自立支援制度窓口では、家計相談・就労支援・制度紹介をトータルでサポートしています。任意整理中も相談可能です。​

任意整理開始時は孤独を感じやすいですが、公的支援は生活再建を目的としており、任意整理との両面から利用できる可能性があります。

それでも借金問題が解決しない場合の選択肢

任意整理で返済計画を立てても、毎月の返済が苦しい、生活に不安がある、といった悩みがあるかもしれません。ここでは、任意整理が難しくなったときに検討できる「個人再生」や「自己破産」という選択肢について、それぞれのメリット・デメリット、そして切り替えるべきタイミングについて解説します。どちらも「失敗」ではなく、生活を再建するための方法です。基本的な知識を抑えておきましょう。

個人再生という選択肢のメリット・デメリット

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年(最長5年)で分割返済していく法的手続きです。任意整理よりも減額効果が大きく、条件を満たせば住宅ローンを支払いながら自宅を残せる点が大きな特徴といえます。

たとえば、借金が500万円ある場合、個人再生では法律で定められた最低弁済額の基準により、約100万円程度まで減額される可能性があります。返済総額が大きく下がれば、月々の返済負担も現実的な水準に抑えやすくなります。さらに「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用すれば、住宅ローンはこれまでどおり支払いながら、他の借金だけを整理することも可能です。家族と住み続けたい方や、生活環境を変えたくない方にとっては重要なメリットです。

個人再生には主に次の2種類があります。
・小規模個人再生:自営業者や会社員など幅広く利用可能。ただし、債権者の書面決議が必要で、一定数の反対があると認可されません。
・給与所得者等再生:主に会社員向けの制度で、債権者の同意は不要ですが、返済額が小規模個人再生より高くなる場合があります。

いずれも、継続的かつ安定した収入があることが利用の前提条件となります。
一方で、デメリットも理解しておく必要があります。

・信用情報への影響
個人再生を行うと、信用情報機関に事故情報が登録され、5〜10年程度は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。
・官報への掲載
氏名や住所が官報に掲載されます。一般の人が目にする機会は多くありませんが、完全に知られないとは言い切れません。
・手間・期間・費用
裁判所を通すため、手続きは任意整理より複雑です。申立てから再生計画の認可まで、半年〜1年程度かかるのが一般的です。専門家に依頼する場合、費用はおおむね40万〜60万円前後が目安となります。

それでも、「任意整理では返済が追いつかない」「どうしても自宅を守りたい」という状況であれば、個人再生は非常に有力な選択肢です。収入状況や財産の有無、家族への影響を踏まえたうえで、弁護士や司法書士と相談しながら、無理のない方法を選択することが大切です。

自己破産に切り替えるべきタイミング

自己破産は、裁判所に申し立てを行い、返済不能と認められた場合に借金の支払義務を免除してもらう法的手続きです。

自己破産を検討すべき主なタイミング

・任意整理や個人再生を続けても、返済の見通しが立たない場合
たとえば、月収が15万円前後で、家賃や光熱費を支払うだけで精一杯の状況であれば、毎月数万円の返済を続けるのは現実的ではありません。無理な返済を続けるより、自己破産で一度リセットした方が、長期的に生活を安定させられるケースも多くあります。
・病気やケガ、介護などで収入が大きく減った場合
健康上の理由で働けなくなった、家族の介護で就労が難しくなったなど、生活環境が大きく変化したときに、以前と同じ返済計画を維持するのは困難です。「もう少し頑張れば」と無理を重ねる前に、専門家へ相談し、現実的な選択肢を検討することが重要です。

自己破産のメリット

自己破産の最大のメリットは、税金や養育費など一部を除き、原則として借金の返済義務が免除されることです。これにより、返済に追われる生活から解放されます。また、弁護士などが受任すると、債権者からの直接の取り立ても止まるため、精神的な負担も大きく軽減されます。

自己破産のデメリットと注意点

一方で、以下のようなデメリットもあります。
・信用情報への影響
信用情報機関に事故情報が登録され、5〜10年程度は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。
・職業制限
手続き中は、警備員、保険募集人、士業など一部の職業に就けない期間があります。ただし、免責が確定すれば制限は解除されます。
・財産の処分
原則として、一定以上の価値がある財産は処分対象となります。具体的には、時価20万円を超える車や高額な解約返戻金のある保険、不動産などです。

ただし、生活に必要な家財道具や99万円以下の現金は手元に残すことができます。また、配偶者や家族名義の財産が処分されることはありません。「すべてを失う」というわけではない点は、正しく理解しておく必要があります。弁護士や司法書士に相談すれば、収入や財産、家族構成を踏まえたうえで、自己破産が本当に適切か、他に選択肢はないかを冷静に判断してくれます。

まとめ

任意整理(債務整理)中に「急な出費でお金が必要になったらどうすればいいのか」と不安になる方は少なくありません。しかし、この期間に新たな借入を行うことには大きなリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

まず前提として、任意整理中は信用情報に事故情報が登録されているため、銀行や消費者金融からの新規借入は原則として困難です。仮に審査に通るケースがあったとしても、高金利で条件が厳しく、返済不能に陥る危険性が高くなります。また、任意整理中に借入をすると、債権者との和解条件に反する行為とみなされ、交渉が決裂したり、一括請求を受けたりするおそれもあります。

さらに注意したいのが、家族や知人からの借入です。金融機関ではないため問題ないと思われがちですが、返済できなくなれば人間関係のトラブルに発展しやすく、結果的に生活再建の妨げになることもあります。

では、お金が必要になった場合、どのような対処法があるのでしょうか。
・弁護士・司法書士に早めに相談する
一時的な資金不足であれば、返済計画の見直しや支払時期の調整を交渉してもらえる可能性があります。
・公的支援制度の活用
自治体の生活福祉資金貸付制度や緊急小口資金など、低利または無利子で利用できる制度があります。
・家計の一時的な見直し
固定費の削減や支払い猶予の相談により、短期的な資金不足を乗り切れる場合もあります。
どうしても任意整理の返済が続けられない場合は、個人再生や自己破産への切り替えを検討することも現実的な選択肢です。

アヴァンス法務事務所は、借金問題解決の専門家として豊富な実績と経験があります。24時間全国からメールや電話でのご相談を無料で受付しておりますので、無理に借入で乗り切ろうとせず、まずはお気軽にご相談いただきたいと思います。

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