債務整理をしたほうがいい?おまとめローンで借金を一本化したのにまだ返済が苦しい。

借金の返済が苦しくなったときに、おまとめローンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。今よりも低い金利で借り換えることができれば、返済の負担を軽くできますし、複数の借金を1ヵ所にまとめることで返済管理も楽になります。

ですが、「おまとめローン=返済が楽になる」と安易に利用してしまうと、かえって借金問題を深刻化させてしまうリスクがあります。当事務所にご相談いただくお客様にも、「おまとめローンで借金を一本化したのに、返済に行き詰まってしまった」という方も少なくありません。

おまとめローンで返済が楽になったはずなのに、なぜ行き詰ってしまったのでしょうか。今回はその原因と対処方法を解説していきます。

■おまとめローンで借金をまとめたが、返済できなかった

おまとめローンを利用して借金を一本化したのに、返済に行き詰まってしまう。なぜこのようなことが起こるのか、具体的な金額を例にご説明していきましょう。

例えば、消費者金融4社から合計300万円の借金をしていたとします。この借金をおまとめローンで一本化した場合、返済額をどの程度まで減らせるでしょうか。

おまとめローンを利用することで借入利率を12%に下げることができた場合、月々の返済額を82,000円から67,000円まで減らすことが可能です。

また、おまとめローンを利用せずに返済を続けた場合、利息だけで約119万円を支払う計算になります。おまとめローンによって利率を下げることができれば、この利息を約100万円に減らすことが可能です。つまり、最終的に払う利息を19万円程度、減らせるということです。

このように、おまとめローンを利用することで返済の負担を軽減することができますが、問題はおまとめ後の返済額で返済を継続できるかどうかです。

おまとめローンを利用しても、月々67,000円の返済ができないのであれば、借金問題を解決することは難しいでしょう。おまとめローンの審査に申し込む前に、月々の返済額がどの程度まで下がるのか、下がった返済額で返済を継続できるかどうか、シミュレーションしておきましょう。

「多少でも返済額が減るのであれば…」と安易に利用してしまうと、余計に借金問題が深刻化してしまいます。おまとめローンを検討される場合は、返済を継続できるかどうかを考えてから手続きを進めましょう

■おまとめローンを利用した後に、借金を増やしてしまった

おまとめローンで返済の負担を軽減したにも関わらず、返済が行き詰ってしまう原因がもうひとつあります。それは、おまとめ後に再び借入を繰り返してしまうことです。

よくあるのが、先程の例のように金融会社4社の借金を一旦、おまとめローンを利用して完済したとします。すると、完済した金融会社の借入枠が空いた状態になります。つまり、再び借入ができてしまうということです。

完済した金融会社側から見れば、「きちんと返済してくれる優良顧客」という扱いになるため、追加融資や利用枠の増額などの勧誘をしてくることがあります。さらに、急な出費や足りない生活費を補うために、つい借入をしてしまったり、返済が楽になったことで気が緩み、「もう少し借りても大丈夫だろう」と再び借入をしてしまう方もいらっしゃいます。

このような借入を繰り返すことで、多重債務の悪循環に逆戻りしてしまいます。そして、おまとめローンを利用する前よりも借金の総額が増えてしまうケースが多いです。

おまとめローンを利用しても、借金を繰り返してしまうのであれば根本的な解決にはなりません。むしろ、借金問題がより深刻な状態になってしまいます。

■おまとめローンで借金問題を解決できない場合はどうすればいいの?

借金問題の解決方法には、おまとめローンの他に債務整理という方法があります。

債務整理には、金融会社と直接交渉を行う「任意整理」と、裁判所に申立てを行う「個人再生」「自己破産」があります。借金の金額や収入のご状況によってどの方法を取るかが変わってきます。

それでは、ひとつずつ仕組みを解説していきましょう。

[月々の返済の負担を減らす任意整理]

任意整理とは、「将来利息の減免」「分割返済」について金融会社と直接交渉を行います。これにより、月々の返済の負担を軽くすることが可能です。

先程の例にでてきた、4社から合計300万円を借りて、毎月82,000円を返済していた場合に、任意整理をすると返済額がどうなるのか見てみましょう。(利率14%~18%)


仮に利息の免除と60回分割で交渉が成立した場合、月々の返済額が5万円に減額されます。さらに約119万円の利息の負担が免除されます。(※延滞の有無など、取引内容によって和解条件が変わるケースがあります。)

このように、概ね元金のみを36回~60回分割で返済することで借金の負担を軽減します。

[大幅に返済額を減らせる個人再生]

個人再生とは、裁判所に申立てを行い、借金を概ね100万円もしくは1/5まで圧縮し、原則3年で分割返済をしていく方法です。さらに、今後の利息も免除されます。

では、先程の例にでてきた借金が個人再生によって、どのようになるのか見ていきましょう。(4社から合計300万円を借りて、毎月82,000円を返済。年利14%~18%)

この場合、借金を1/5に圧縮した金額の60万円と100万円を比較して、高い方の金額である100万円を返済することになります。この100万円を3年で分割返済する場合、月々の返済額は約28,000円になります。

個人再生は、任意整理よりも借金の減額幅が大きいです。そのため、任意整理では借金問題の解決が難しい場合に検討します。ただし、個人再生は車や住宅など、価値の高い財産をお持ちの場合は返済額が上がる可能性があり、手続きがやや複雑になります。

[すべての返済義務が免除される自己破産]

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、すべての返済義務を免除してもらう方法です。

テレビや映画などの影響で自己破産をすると、すべての財産を取り上げられて生活ができなくなる、と思っている方も多いのですが、これは間違いです。一定の財産を処分する必要はありますが、生活に必要な家具や家電などの財産を残すことが可能です。

[それぞれの手続きの違い]

ご紹介したように、任意整理、個人再生、自己破産で手続き後の返済額が大きく変わってきます。さらに、それぞれの手続きごとに特徴がありますので解説していきます。

・裁判所を通さない任意整理

裁判所を通さない任意整理の場合は、個人再生、自己破産に比べて柔軟な対応が可能です。

任意整理は認定司法書士や弁護士が代理人となって、金融会社と直接交渉を行うため、お客様にやって頂く作業が特にありません。さらに、手続きに必要な書類もそれほど多くないため、ご家族や職場の方に気づかれずに手続きを進められます

また、任意整理を行う債務と行わない債務を選ぶことができるため、カーローンや住宅ローンなど、影響を出したくない債務を手続きの対象から外すことが可能です。

・裁判所を通す個人再生、自己破産

裁判所を通す個人再生、自己破産は任意整理のような柔軟な対応が難しく、手続きがやや複雑です。

個人再生、自己破産の場合は、裁判所に提出する書類が多いです。家計簿や通帳のコピー、財産や保険、住宅関連の書類など多くの書類を集めていただく必要があります。さらに、同居のご家族に収入がある場合は、ご家族の給与明細も提出する必要があります。そのため、同居のご家族に内緒で手続きを進めることが難しいです

また、すべての債務が手続きの対象になるため、車や住宅などの財産を手放す可能性も出てきます。

このようにそれぞれの手続きに違いがあります。多くのお客様は「家族にはバレたくない」「財産を手放したくない」と考えておられることから、任意整理を希望される方が多いです。

しかし、任意整理を希望していても、手続き後の返済額で返済を続けられる見込みが無ければ任意整理を行うことはできません。任意整理では借金問題の解決が難しい場合は、より減額幅の大きい個人再生や自己破産を検討する必要があります。

そのため、借金問題の解決は少しでも借金の金額が少ないうちに解決を図ることが重要です。借金の金額が大きくなり過ぎると、手続きの選択肢が狭まってしまい、最悪の場合は「自己破産しか選べない」ということにもなりかねません。

■借金を一本化することが目的になっていませんか?

ご紹介したように、おまとめローン以外にも借金問題の解決方法はいくつかあります。

どの方法を検討するにしても、まず考えていただきたいのが「手続き後の返済額で返済を継続できるか」という点です。

おまとめローンで完済できる見込みがあるのであれば、おまとめローンも借金問題を解決する方法として有効です。しかし、おまとめローンを利用しても返済を継続できそうになかったり、再び借入をしてしまう可能性があるのであれば、お勧めできません。

おまとめ後にさらに借金を増やしてしまい、返済が破綻してしまったというご相談もよくお聞きします。おまとめローンは借金の金額自体は減らせませんし、利息も付いています。返済に行き詰まって、再び借入をしてしまうと、借金問題が振出しに戻ってしまいます。

借金を一本化できても、借金問題が解決できないのであれば意味がありません。

もし、おまとめローンを利用しても返済を継続できるか不安な場合は、一度、債務整理も検討してみてはいかがでしょうか。ご相談の段階でもある程度の見通しを立てることができますので、まずはアヴァンス法務事務所にご相談ください。

関連記事

このページをシェアする