2018.11.09
債務整理
知っておきたい!債務整理の種類と基礎知識
借金の返済で生活が立ち行かなくなったときの解決方法として債務整理があります。いざというときのために、債務整理にはどんな種類があるのか、それぞれにどんな特長があるのかを知っておきましょう。
■そもそも、債務整理って何をするの?どんな種類があるの?
債務整理とは、借金を減額したり、支払いに猶予を持たせたりすることにより、生活再建への道筋をつけるための手段です。そして、債務整理には「過払い金請求」「任意整理」「個人再生」「自己破産」があります。いずれの手続きでも、アヴァンス法務事務所にご依頼いただくと、速やかに金融会社などからの取り立てを止められるように対応しております。それでは、それぞれの特長を見ていきましょう。
■債務整理の種類とそれぞれのメリット・特長を知ろう
[過払い金請求]
テレビCMなどで「過払い金請求」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。過払い金請求とは、金融会社と直接交渉を行い、払い過ぎていた利息(過払い金)を返してもらうための手続きです。
過払い金はなぜ発生するの?
2010年に法律が施行されるまでは、出資法と利息制限法という2つの法律で、それぞれ異なる上限金利が定められていました。そこで多くの金融会社は、高いほうの上限金利である出資法の範囲で金利を設定し、貸付を行っていたのです。この出資法と利息制限法の間の上限利率を「グレーゾーン金利」と言い、払い過ぎた利息=過払い金ということになります。
2010年以前に金融業者と契約し、そのときの借金の金利が利息制限法で定められた上限金利(15%~20%)を超えていた場合、過払い金が発生している可能性があります。契約時の書類や取引明細が無くても、金融会社の名前がわかれば過払い金請求は可能です。
過払い金請求のメリットは?
過払い金請求を行うことで、返済中の借金を減らせたり、手元にお金を取り戻せる可能性があります。また、過去に完済している借金に対して過払い金請求を行うことも可能です。ただし、借金の完済から10年が経過すると「時効」となるため、手続きができなくなります。心当たりのある方は、お早めにアヴァンス法務事務所にご相談ください。
過払い金請求のデメリットは?
返済中の借金に対して過払い金請求を行い、債務が残った場合は、信用情報機関(俗にいうブラックリスト)に登録されるため、今後5年~10年の間は新たな借り入れが難しくなる可能性があります。一方、借金を完済している場合、もしくは、過払い金請求によって借金をすべて返済できる場合は、手続きをしても信用情報機関に登録されないため、デメリットはないでしょう。
(厳密に言うと、過払い金請求の手続き中の数か月間は信用情報に登録されますが、手続きが終わると消えるため、それほど気にする必要はないでしょう。)
[任意整理]
任意整理とは、裁判所を通さずに金融会社と直接、借金の減額・利息の減免・支払い回数等を交渉し、月々の返済の負担を軽くしてもらうための手続きです。
任意整理のメリットは?
金融会社に交渉することで今後の利息をカットし、返済期間を概ね3年~5年とすることで、月々の返済額を減らせる可能性があります。また、裁判所を通さない手続きのため、家族や会社に内緒で手続きを進めやすいこともメリットです。
すべての借金が対象になる?
任意整理の場合は整理する対象を選ぶことができます。親族や友人・知人からの借金、住宅や車のローンなどを手続きの対象から外すことができるので、「身近な人に迷惑をかけたくない」「住宅や車は残したい」という場合に有効です。
任意整理のデメリットは?
・任意整理をすると、信用情報機関(俗にいうブラックリスト)に登録されるため、今後5年~10年の間は新たな借り入れが難しくなる可能性があります。
・借金に保証人がついている場合、保証人に支払い義務が発生しますので、事前に事情を説明し、保証人の方も返済が難しい場合は同時に債務整理を行うことを検討したほうが良いでしょう。
・奨学金や個人間での借金の場合は、手続きは難しくなります。
[個人再生]
個人再生とは、裁判所を通して借金を大幅に圧縮し、生活再建を目指す手続きです。
全ての債務が対象になりますが、住宅資金特別条項を利用する(条件あり)ことで住宅ローンを残すことが可能です。
個人再生のメリットは?
借金を概ね1/5もしくは最低弁済額の100万円まで、大幅に圧縮できることが個人再生のメリットです。圧縮された借金を、原則として3年で返済することになります。自己破産の場合とは違い、免責不許可事由(ギャンブルや浪費による借入の場合は申し立てが認められにくい)と資格制限(申し立ての期間中は警備員や保険外交員などの職業に就けない)がありません。
住宅ローンはどうなる?
個人再生は全ての債務が対象になりますが、住宅資金特別条項を利用することで住宅ローンは残すことが可能です。ただし、下記の条件があります。
・本人が所有している居住用の住宅であること
・住宅ローン以外の担保、抵当権がついていないこと
・代位弁済をされていた場合は、6ヶ月以内であること
・付帯費用(※)がついていないこと
※住宅ローンと一緒に太陽光発電などのローンを組んでいる場合など
個人再生で注意することは?
圧縮された借金を原則3年で返済することが条件になるため、裁判所から返済能力を厳しく判断されます。手続きをしても返済の見込みが立たない場合、個人再生が認められることはありません。
また、各地方裁判所の判断によって「再生委員」が必要な場合があります。例えば、東京の場合、再生委員が必要と判断されると、返済能力を判断するために約6か月間の「履行テスト」というものが実施されます。具体的には、裁判手続きを進める中で、再生委員もしくは本人が開設した口座に、個人再生後に返済していく金額と同額を6ヶ月間入金していきます。この間に返済が滞れば、個人再生の手続きを行っても返済を続けていくことは無理であろうと裁判所に判断され、個人再生が認められなくなります。また、再生委員への報酬が別途必要となります。
個人再生のデメリットは?
・すべての債務が手続きの対象となるため、特定の債権者を除外することはできません。
・信用情報機関(俗にいうブラックリスト)に登録されるため、今後5年~10年の間は新たな借り入れが難しくなる可能性があります。
・借金に保証人がついている場合、保証人に支払い義務が発生しますので、事前に事情を説明し、保証人の方も返済が難しい場合は同時に債務整理を行うことを検討したほうが良いでしょう。
・国が発行する「官報」という機関紙に公告されます。しかし、一般の方が「官報」を目にする機会はほとんどありません。
[自己破産]
借金問題解決の最後の手段といえるのが自己破産です。裁判所に申し立てを行い、すべての借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
自己破産のメリットは?
裁判所を通して、すべての借金の返済義務を免除してもらうことで、生活再建に取り組めることがメリットです。返済のためのお金の工面、取り立てへの対応などから解放され、穏やかな気持ちで再出発できることも大きなメリットになります。
自己破産で注意すべき点は?
自己破産の場合は「財産の処分」「仕事への影響」「免責不許可事由」について注意が必要です。
まず財産については、20万円以上の価値の財産や、不動産を所有している場合は「管財人」の選出が必要になります。この管財人と呼ばれる人が財産の管理・処分・債権者への分配を行います。この場合、管財人への報酬と期間が別途必要となります。
次に、仕事への影響として「資格制限」があります。申し立ての期間中は弁護士や税理士などの士業、警備員や保険募集人などの職業に就けなくなります。ただし、資格がはく奪されるわけではありませんので、自己破産の手続き後は再び同じ仕事に就くことが可能です。
最後に「免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)」についてです。借金の原因がギャンブルや浪費の場合は自己破産が認められにくくなります。
自己破産のデメリットは?
・すべての債務が手続きの対象となるため、特定の債権者を除外することはできません。
・一定の財産を処分する必要があります。ただし、裁判所の規定内の日常生活に必要となる家具や家電、99万円以下の現金などについては手元に残すことが可能です。
・借金に保証人がついている場合、保証人に支払い義務が発生しますので、事前に事情を説明し、保証人の方も返済が難しい場合は同時に債務整理を行うことを検討したほうが良いでしょう。
・国が発行する「官報」という機関紙に公告されます。しかし、一般の方が「官報」を目にする機会はほとんどありません。
■債務整理に関する「よくあるお悩み」にお答えします
Q:家族や職場にも内緒で債務整理はできますか?
A:裁判所を通さない過払い金請求、任意整理の手続きであれば可能です。アヴァンス法務事務所から連絡させていただく場合も、連絡する時間帯や電話番号などについて最大限の配慮をいたします。
Q:住まいへの影響は?
A:任意整理の場合、住宅ローンを手続きの対象から外せば影響はありません。個人再生の場合ですと、「住宅資金特別条項」を利用して住宅ローンを残すことが可能です(条件あり)。自己破産の場合は持ち家であれば処分の対象になります。
Q:手続きが家族に影響しますか?
A:債務整理の手続きについては、基本的に手続きをするご本人以外への影響はありません。財産が処分される自己破産の場合でも、処分されるのは申立人ご本人の財産のみで、ご家族の財産には影響しません。また、今後ご家族がクレジットカードを作成したり、ローンを組んだりする場合にも影響はありません。
Q:今後の生活に支障が出ませんか?
A:「戸籍に記録される」「選挙権を失う」「結婚や就職ができなくなる」などといった噂がありますが、それらはすべて間違いです。
Q:ブラックリストに載りますか?
A:俗にいう「ブラックリストに載る」とは、信用情報期間に登録されることを指しています。債務整理を行った場合、それぞれの手続きをした事実が信用情報機関に登録されますので、今後5年~10年は新たな借り入れが制限される可能性があります。
Q:債務整理ができないこともありますか?
A:たとえば、任意整理や個人再生であれば、減額された債務に対して、返済を続けられる見込みがない場合は手続きが認められません。自己破産であれば、十分に返済できるだけの収入がある場合(返済不能でない場合)や、「免責不許可事由」に該当する行為があった場合、生活を立て直せる見込みがない場合などは手続きができません。
■債務整理の流れ・費用などを詳しく知るには?
アヴァンス法務事務所での債務整理の手続きの流れ、必要な期間、手続き費用などの詳しい情報については、それぞれの手続きのページでわかりやすくご説明しています。各ページをご確認のうえ、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
任意整理とは? https://avance-jud.jp/saimu/nini/
過払い金請求とは? https://avance-jud.jp/kabarai/
個人再生とは? https://avance-jud.jp/saimu/kojin/
自己破産とは? https://avance-jud.jp/saimu/hasan/