債務整理をするとクレジットカードは使えなくなる?

「債務整理をするとクレジットカードは使えなくなるのでしょうか?」このようなご質問を度々お受けします。

結論から言うと、債務整理の手続きをしたクレジットカードは強制解約になるため、使えなくなります。また、手続きの対象にしなかったカードもいずれは使えなくなる可能性が高いです。このことから、債務整理の手続きを諦めてしまう方もいらっしゃいます。

普段の買い物や公共料金の支払いにクレジットカードを利用している方も多いかと思います。クレジットカードを日常的に利用されているのであれば、カードが使えなくなるのは不便でしょう。

しかし、クレジットカードを残したいから債務整理をしないというのは危険です。このまま借金問題が深刻化してしまうと債務整理をしてもしなくても、いずれはクレジットカードが使えなくなってしまうかもしれません。

そこで、今回は借金問題とクレジットカードの関係性について解説していきます。

■債務整理をするとクレジットカードが使えなくなる理由

まずは、債務整理をするとクレジットカードが使えなくなる理由からご説明します。

冒頭でご説明したように、債務整理の手続きをしたクレジットカードは強制解約になるため使えなくなります。これはキャッシング利用もショッピング利用もどちらもできません。また、新しいクレジットカードを作ることも難しくなります。

なぜ、新しいクレジットカードが作りにくくなるかというと、これには信用情報が関係しています。

信用情報とは、クレジットカードやローンなどの信用取引に関する情報のことで、これには、お客様がどの金融会社からいくら借りているか、返済が滞っていないかといった情報が登録されています。この情報にはクレジットカードの利用状況も含まれています。

もし、クレジットカードの支払いが遅れたり、キャッシングやカードローンなどの返済が滞ると、その情報が事故情報として登録されます。債務整理を行った場合も事故情報が登録されます。そして、これらの借入の情報をまとめて管理・提供しているのが、信用情報機関です。

例えば、クレジットカードの申し込みをしたとします。するとカード会社はその人にクレジットカードを発行するかどうか審査します。その際にお客様の信用情報を取り寄せ、借入の状況を確認します。さらに、年収や勤続年数などの情報も総合的に加味し、クレジットカードを発行するかどうかを判断します。

もし、債務整理をしたことで信用情報に事故情報が載ると、カード会社は「この人にお金を貸しても返してもらえないかもしれない」と判断する可能性があるため、クレジットカードを作ることが難しくなります。俗に言うブラックリストの状態です。

これが、債務整理をするとクレジットカードが作りにくくなる理由です。ただし、一生クレジットカードを作れないわけではありません。事故情報が登録されるのは概ね5年から10年程度です。事故情報が消えてからであれば再びクレジットカードを作ることが可能です。

■残したいクレジットカードを手続きの対象から外すことはできるの?

「一部のクレジットカードを債務整理の対象から外したい。」このようにおっしゃるお客様も少なくありません。では、このようなことが可能なのか解説していきます。

債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」があります。この中の裁判所を通さない任意整理であれば、残したいクレジットカードを手続きの対象から外すことが可能です。逆に個人再生や自己破産の場合は全ての債務が手続きの対象になるため、クレットカードを手続きの対象から外すことはできません。

では、任意整理によって残したいクレジットカードを手続きの対象から外した場合、どうなるのでしょうか。

[手続きをしなかったカードもいずれは使えなくなる可能性が高い]

手続きをしなかったクレジットカードは、しばらくは使い続けられるかもしれません。しかし、金融会社がカードの更新などのタイミングで信用情報をチェックした際に、使えなくなる可能性が高いです。

また、カード会社が独自の判断基準で信用情報をチェックすることもありますので、更新時期がくる前にクレジットカードが突然使えなくなることもあります。

[手続きをしなかったカードを利用してさらに借金を増やしてしまう]

手続きをしなかったクレジットカードをしばらく使えたとしても、そのカードで再び借金を繰り返してしまうリスクがあります。

任意整理をした直後は、使い過ぎないように気を付けていても、返済が楽になったことでつい買い物をし過ぎてしまったり、現金が足りなくなってまたお金を借りてしまったりと、再び借金を増やし、返済に行き詰まる方が多いです。

残したカードも後から任意整理をすればいいのでは、と思っていると危険です。任意整理は利息を減免してもらうことは可能ですが、元金自体は減りません。借金が増えればそれだけ返済の負担も増えます。

カードを残したことで余計に借金が増えてしまうのであれば本末転倒です。せっかく債務整理をしたにも関わらず、また借金をしてしまっては借金問題が振出しに戻ってしまいます。

■債務整理をしなければクレジットカードは使い続けられるの?

クレジットカードが使えなくなると困るから、債務整理をしない。というお客様も時々いらっしゃいます。

しかし、債務整理をしなくても、このままクレジットカードが使えるかどうかは分かりません。このまま借金問題が深刻化してしまうと、いずれはクレジットカードが使えなくなる可能性があります。

例えば、今はまだ、延滞を出さずにぎりぎり返済できていたとします。債務整理をしなければこのままクレジットカードを使えるでしょう。しかし、この状態をいつまでも続けられるでしょうか

このままクレジットカードを使い続ければ、結局は借金を増やしてしまいます。限度額に達してしまえばそれ以上お金を借りることはできません。

新しいクレジットカードを作ろうとしても、信用情報には事故情報以外にも、どこからいくら借りているのかも登録されています。カード会社が「借り過ぎ」の状態にあると判断すれば、新しいカードを作ることは難しいでしょう。

借りられる金額には限界があります。限度額に達してどこからも借りられなくなるのは時間の問題です。返済が滞れば、そのクレジットカードは使えなくなりますし、信用情報の影響でそれ以外のクレジットカードもいずれは使えなくなるでしょう。

このように、債務整理をしなければクレジットカードが使える、という訳ではありません。借金問題の解決を先延ばしにしてもメリットはひとつもありません。

実際に「クレジットカードが使えないと困る」からと、一旦手続きを保留にされお客様が「やっぱりどうにもならい」と再度、ご相談にいらっしゃることも珍しい話ではありません。そして、最初にご相談いただいた時よりも借金の金額が増えていることが多いです。

何の解決方法もないまま、借金問題を放置してしまうと、クレジットカードどころではなくなってしまいます。借金の返済が苦しい状況を続けることにもなりますし、長期間返済が滞ってしまうと、最悪の場合は裁判を起こされ、給与や預貯金、住宅などの財産を差し押さえられるということも考えられます。

■決済方法としてクレジットカードを残したい場合

決済方法としてクレジットカードを使いたいのであれば、デビットカードやプリペイドカードなどを検討されてはいがでしょうか。

デビットカードは利用するたびに銀行口座から即座に引き落とされる仕組みになっています。また、プリペイドカードは事前にお金をチャージして利用する仕組みになっています。どちらも、後払いやリボ払いはできませんがクレジットカードの代わりの決済方法として利用するには十分、代用可能ではないでしょうか。

■借金をするためにクレジットカードを残すのはお勧めできません

足りない現金を補うためにクレジットカードを残すというのはお勧めできません。

借金問題のご相談を頂くお客様の多くは、クレジットカードが原因で借金問題を抱えています。現金が足りないときにクレジットカードを使って支払いを遅らせたり、キャッシングで現金を引き出したりと、簡単にお金を借りられることから、ご自身の返済能力を超えた金額を借りてしまいます。

借金問題の原因になったクレジットカードを持ち続けるのはリスクでしかありません。せっかく借金問題を解決しようとしているのに、借金問題が振出しに戻ってしまうことになりかねません。

また、お客様によくお話しするのが、「借金をしているからお金が足りなくなる」ということです。

お金が足りないから借金をする。お給料が入っても返済に消えてしまい、再びお金が足りなくなって借金をする。このような借りて、返してのサイクルに陥ってしまいます。

このサイクルを断ち切るためには、やはり借金をしやすい状況を作らないことです。クレジットカードが手元にあると、ついつい使ってしまいそうなのであれば、クレジットカードを残すことを考えず、まずは目の前の借金問題を解決することを優先したほうが得策でしょう。

債務整理をしても一生、クレジットカードが作れないわけではありません。借金を全て完済し、事故情報が消えてから再スタートを切られた方が安全ではないでしょうか。

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