借金問題を勤務先に知られたくない場合はどうすればいい?

借金問題を抱えていることを勤務先には知られたくない、このように思う方は多いのではないでしょうか。当事務所にも「債務整理をしたら勤務先に連絡が行くのですか?」といったご相談を時々いただきます。

もしも、勤務先に借金があることを知られてしまったら、会社に居づらくなるのでは、信用を無くすのでは、と不安になるお気持ちは分かります。そこで今回は、借金問題を勤務先に知られないようにするには、どうすればいいのかを解説していきます。

■職場に借金問題を知られるリスクがあるのは督促の連絡を無視し続けた場合

借金をしていても、滞りなく返済を続けているのであれば、お勤め先に借金のことを知られる可能性は低いでしょう。

お勤め先に借金問題を知られてしまう可能性があるのは、督促の連絡を無視し続けた場合です。ただし、返済が滞ったからと言ってすぐにお勤め先に連絡がいくわけではありません。何度も督促の連絡が来ているにも関わらず、それらを無視してしまった場合に、債権者からの電話がお勤め先にかかってくる可能性があります。

「会社にまで連絡をしてくるのは違法ではないの?」と思われる方も多いのでご説明していきましょう。

貸金業法という法律には、取立てに関する規則が設けられおり、正当な理由なく債務者(お金を借りた人)の勤務先に電話をかけたり、訪問したりする行為が禁止されています。

ですが、この【正当な理由】には明確な基準がありません。

金融会社が何度も携帯や自宅に電話をかけても連絡がつかない、メールや書面を送っても返信がないなど、どうやっても債務者と連絡が取れない場合に、やむを得ず勤務先へ連絡することが認められる可能性があります。

金融会社としても、返済が滞っている債務者と何とかして連絡を取らなければなりません。電話やメールをしても連絡が取れないのであれば、職場に連絡するしか方法がありません。

正規の金融会社であれば、ご本人以外の方に借金のことを漏らすことはありません。しかし、会話のやり取りを聞かれてしまったり、何度も電話がかかってくると、会社の方に借金問題を疑われてしまうかもしれません。

「返済できるあてがない」「話をするのが怖い」からと言って督促を放置してしまうと危険です。督促の電話がお勤め先にかかってくることを防ぎたいのであれば、債権者からの連絡を無視してはいけません

■給料を差し押さえられると、職場に借金問題を知られてしまう

借金の返済ができないまま放置してしまうと、最悪の場合は裁判を起こされ、給料を差し押さえられてしまうこともあります。差し押さえの判決が確定すると、お勤め先に「差押通知書」が送られます。これにより、借金をしていることも返済が滞っていることもお勤め先に知られてしまいます。

ただし、給料の差し押さえはある日、突然行われるという訳ではありません。差し押さえをされるまでに、何度も金融会社から電話や書面で連絡が来ているはずです。さらに、裁判に移行する旨の書面や、裁判所からの通知なども届いているはずです。

返済できるあてがないからと言って、これらを全て放置してしまうと、裁判を起こされ、本人不在のまま判決が確定することもあります。

■債務整理をすると借金問題を勤務先に知られてしまう?

債務整理をすると会社に借金問題を知られてしまうのでは?と思っている方も多いので解説していきます。結論から言うと、債務整理を行っても基本的にお勤め先に連絡が入ることはありません

ただし、下記の条件に当てはまる場合は少し注意が必要です。

  • お勤め先から借入をしている
  • 自己破産の資格制限に該当している

[お勤め先から借入をしている]

お勤め先から借入をしている場合は、お勤め先の会社が債権者という扱いになるため、少し注意が必要です。では、お勤め先への影響を避けたい場合はどうすればいいのでしょうか。

これは、債務整理のどの方法を選ぶかによって答えが変わってきます。債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」がありますので、それぞれの手続き方法と併せて解説していきます。

・裁判所を通さない任意整理

任意整理とは、今後、返済に伴ってかかってくる利息を減免してもらい、さらに分割で返済していけるように交渉する方法です。概ね元金のみを36回~60回分割で返済していくことになります。これにより、月々の返済額を減らすことが可能です。

勤務先からの借り入れに対して任意整理を行うと、会社宛に任意整理を行う旨の通知が送られるため、他にも借金があることや返済が苦しくなっていることを知られてしまいます。

そういった場合は、勤務先からの借入を手続きの対象から外すことで、会社に連絡が入ることを避けることが可能です。任意整理は裁判所を通さず、金融会社と直接交渉を行うため、このような柔軟な対応が可能です。

ただし、お勤め先からの借入を任意整理の対象から外した場合は、そのまま返済を継続する必要がありますので、よく考えてから判断しましょう。

・裁判所を通す個人再生・自己破産

個人再生とは、債務を概ね1/5もしくは100万円まで圧縮し、原則3年で分割返済していく方法です。これにより、大幅に月々の返済額を減らすことが可能です。また、自己破産はすべての債務の返済義務を免除してもらう方法です。

個人再生と自己破産の場合は裁判所を通すため、任意整理のように勤務先からの借入だけを手続きの対象から外すということができません。勤務先も債権者として扱われるため、手続きに関わって頂く必要があります。

そのため、勤務先からの借入がある場合は、勤務先に知られずに個人再生・自己破産の手続きを進めることは難しいでしょう。

ただし、ここでご注意いただきたいのが、勤務先に借金問題を知られたくないからと言って、手続きをする前に勤務先への借金だけ完済するということはしないでください。返済不能の状態にあるのに特定の債権者にだけ返済することを偏頗弁済(へんぱべんさい)と言います。

偏頗弁済をしてしまうと、個人再生後の返済額が増えたり、自己破産の申立てが認められなかったりする可能性があり、リスクしかありません。

[自己破産の資格制限に該当している]

自己破産をすると、申立てから免責が確定するまでの間、一部の資格が制限されます。

主に、他人のお金や資産を取り扱う資格や職業に就いている方が対象になります。例えば、税理士や弁護士、公認会計士と言った士業の方や警備員、生命保険募集人などが該当します。ただし、資格がはく奪されるわけではありませんので、免責確定後は元の資格を活かした仕事に就くことが可能です。

この場合、会社宛に通知が入るわけではありません。しかし、資格制限を受けている間に該当の資格を使った業務につくことは違法ですので、お勤め先にご自身で事情を説明するか、自己破産以外の方法を検討する必要があります。

■すぐにアヴァンス法務事務所にご相談ください。

借金問題の解決は少しでも早く動くことが重要です。返済できるあてがないからと言って、このまま借金問題を放置してしまうと、周囲の方に借金問題を知られてしまうリスクがさらに高まります。

ご相談の段階でも、どれぐらい月々の返済額を減らせそうか、概算の金額をお伝えすることが可能です。返済額がどれぐらい減るのかが分かれば、今後の見通しも立てやすくなります。

金融会社からの督促にお悩みであれば、お早めにアヴァンス法務事務所にご相談ください。正式に委任契約を結ぶことで、督促と返済を一時的に止めることが可能です。

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