2022.11.09
借金のお悩み
「借金減額」とは?デメリットはないの?
インターネットや動画アプリを見ていると、「借金減額」という広告が出ているのをよく見かけます。借金が苦しくなっている方にとっては、気になる広告ではないでしょうか。
しかし、そんなにうまい話がある訳がありません。「どんな仕組みなのか?」「怪しい方法ではないか?」「詐欺ではないか?」など、デメリットがあるのではないかと不安に感じるでしょう。
そこで、このコラムでは借金減額の仕組みとデメリットについて解説します。
「借金減額」は債務整理によるもの
広告でよく見かける「借金減額」とは、債務整理によるものです。
債務整理とは、借金を減額したり、利息の減免を交渉したりして、借金問題を解決する手続きのことです。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」があり、それぞれ特徴があります。
任意整理の仕組み
金融会社と直接、利息の減免・支払い回数を交渉し、返済の負担を軽減する手続きです。概ね、元金のみを3~5年程度で返済していくことになります。
任意整理の特徴として、下記が挙げられます。
・月々の返済額を減らすことが可能
・車や住宅を残せる
・家族に知られずに手続きを進められる
個人再生の仕組み
個人再生とは、裁判所に申し立てを行い、住宅ローンを残して債務を大幅に減額する方法です。
債務を1/5もしくは最低弁済額100万円まで圧縮し、原則3年間で分割返済することになります。個人再生はすべての債務が手続きの対象になりますが、住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローンを除外することができます。
自己破産の仕組み
自己破産とは、裁判所に申立てを行い、すべての借金の返済義務を免除してもらう方法です。
ただし、車や住宅、預貯金など、20万円以上の価値のある財産は処分されます。また、手続き中は一部の職業に就けない、借金の原因がギャンブルや浪費の場合は免責が認められにくいなど、いくつか制約があります。
債務整理をするデメリット
債務整理の「任意整理」「個人再生」「自己破産」のどの方法を選択しても共通するデメリットが、信用情報機関に事故情報が登録されることです(俗に言うブラックリスト)。
事故情報が登録されると、新しいクレジットカードを作る、ローンを組むなど、新たな借入が難しくなります。また、債務整理の手続きをしたクレジットカードは強制解約になるため使えなくなります。
「クレジットカードが無いと不便」「将来、住宅ローンを組みたい」「お金を借りないと生活ができない」などのご事情から、債務整理を敬遠されるお客様も多いです。
しかし、債務整理をしなかった場合のデメリットもあります。債務整理を「するデメリット」と「しないデメリット」の両方をよく知った上で判断する必要があります。
債務整理をしないデメリット
債務整理を「する」「しない」の判断は、このまま返済を続けて、完済できる見通しがあるかどうかが問題です。完済できる見込みがないまま今の状況を続けてしまうと、下記のリスクが想定されます。
延滞を出してしまうと結局、事故情報が登録される
「債務整理をすると事故情報が登録される」と解説しましたが、事故情報は延滞を出した場合も登録されます(俗に言うブラックリスト)。
このまま債務整理をせずに、返済を続けてもいつかは限界が来ます。返済できなくなって延滞を出せば、結局、事故情報が登録され、クレジットカードが使えなくなったり、借入が難しくなったりするのは同じです。
返済が苦しい状態が延々と続く
「借金減額」と言う言葉が気になっているということは、すでに借金の返済が苦しいのではないでしょうか。
アヴァンスにご相談いただくお客様に多いのが、自転車操業です。3社、4社と複数の借金を重ね、借りては返す、借りては返す、を繰り返されています。
A社の返済ができないからB社から借り、B社の返済が苦しくなって今度はC社から借りる。このように返済に追われる生活が延々と続いてしまいます。
さらに、借金も増え続けてしまいます。信用情報機関には借入の情報も登録されています。金融会社が「借り過ぎ」の状態にあると判断すれば、新たな借入が難しくなるのも、クレジットカードが作れなくなるのも同じです。
返済ができなくなった場合のリスクを背負う
返済ができなくなると、事故情報が登録され、クレジットカードが使えなくなったり、借入が難しくなります。さらに、下記のリスクも負うことになります。
遅延損害金が発生する
延滞が発生すると最大で年利20%の遅延損害金が加算されます。延滞を解消できないまま放置してしまうと、どんどん借金が増えていきます。
電話や書面による督促が始まる
返済期日を過ぎると、電話や書面による督促が始まります。書面が自宅に届いて、家族に借金のことを知られてしまう不安や、何度も電話がかかってくることによる精神的な負担は大きいでしょう。
督促の連絡を無視し続けると、勤務先に連絡が入る可能性もあります。
一括返済を求められる
延滞を解消できない場合は、概ね2~3ヶ月で一括請求をされます。
裁判を起こされて財産を差し押さえられる
延滞を解消できないまま何ヶ月も過ぎてしまうと、債権者から裁判を起こされ、給与や預貯金、車、住宅などの財産を差し押さえられる可能性があります。
返済が苦しくなっているにも関わらず、解決を先延ばしにしてしまう方が、デメリットが大きいことをお分かりいただけたでしょうか。
「やっぱり債務整理をしたい」と思った時には、借金問題が深刻化している
一旦は「債務整理をしない」と判断した結果、さらに状況が悪くなってしまう方もいらっしゃいます。
自転車操業を繰り返したり、遅延損害金が膨らんだりと、借金を余計に増やしてしまうケースです。
借金問題が悪化すると、それだけ解決の難易度も上がります。債務整理は任意整理<個人再生<自己破産の順で手続きの難易度が低く、デメリットも少ないです。
借金が少ない内に任意整理で解決できれば、日常生活への影響を避けやすいのですが、個人再生や自己破産は様々なデメリットがあります。
どのようなデメリットがあるのか解説します。
任意整理のデメリット
任意整理のデメリットは、先述のクレジットカードや今後の借入に影響が出る以外は、特にありません。
個人再生・自己破産のデメリット
個人再生と自己破産は、裁判所に申立てを行い、手続きを進めていきます。そのため、任意整理よりも制約が多いです。
すべての債務が手続きの対象になる
消費者金融の借入やクレジットカードの利用分、キャッシング、リボ払い、カードローンの他、カーローン、住宅ローン、奨学金、友人・知人からの借金など、すべての債務を手続きに含めなくてはいけません。
「住宅を残したい」「車はどうしても必要」「友人・知人に迷惑をかけたくない」と思っていても、特定の債務を手続きから除外することはできません。
※個人再生の住宅資金特別条項を利用すれば住宅ローンを残すことは可能です。
裁判所に提出する書類が多い
裁判所に、家計収支表(家計簿)、給与明細、通帳のコピー、住民票、債務者の一覧、保険関係の書類、住宅関係の書類、退職金証明書、公共料金の領収書、など主だったものだけでもこれだけの書類を提出しなくてはいけません。
同居家族に内緒にすることが難しい
先述の裁判所に提出する書類が多いことから、同居のご家族に内緒で手続きを進めることが難しいです。家計の状況をすべて把握している方の方が珍しいですし、ご家族に収入がある場合は、ご家族の収入証明も提出しなくてはいけません。
裁判所に免責を認めるか厳しく判断される
個人再生・自己破産を認める、認めないの判断は裁判所が行います。
提出された書類を元に、「免責を認めれば、借金をせずに生活ができるか」が問われます。家計簿や通帳を精査して、赤字を解消できていない、浪費やギャンブルなど、借金の原因を解消できていないと判断されると、免責は認められません。
再生委員や管財人が選任されると追加費用が必要になる
個人再生をする人の財産や収入の調査、手続きに関する指示・監督をする再生委員が選任される場合があります。また、自己破産の場合も破産者の財産を管理・処分・換金などを行う管財人が選任される場合があります。
どちらも裁判所が選任した弁護士が担当します。そして、再生委員・管財人にも報酬を支払わなくてはいけないため、事案によっては20~30万円程度の追加費用が発生します。
官報に公告される
官報とは、国が発行する情報誌です。個人再生・自己破産を行うと官報に個人情報が掲載されます。
ただし、官報を毎日チェックしている人は稀です。また、そもそも官報の存在を知っている人も少ないため、官報から周囲の人に借金問題を知られる可能性は低いです。
まとめ
債務整理をすると、クレジットカードや今後の借入に影響が出ます。しかし、債務整理をしなくても、借り過ぎの状態になったり、延滞を出してしまえば同じことです。
借金問題の解決を先延ばしにした結果、借金が増えてしまうこともあります。少しでも借金が少ない内に任意整理で解決できれば、ご家族に内緒にできる、車や住宅を残すなど、日常生活への影響を極力抑えることが可能です。
しかし、借金が増えすぎるなど、借金問題が悪化してからでは任意整理を選択できるか分かりません。より借金の減額幅が大きい、個人再生や自己破産しか選択できなくなると、様々なデメリットを負うことになります。
そうなる前に少しでも早く解決に向けて動かれることをお勧めします。
アヴァンス法務事務所では、これまで多くの方の借金問題を解決してきました。債務整理のデメリットを懸念されている方は、そのご不安を私たちにお気軽にご相談ください。あなたにあった方法をご提案いたします。