放置は厳禁!借金を滞納したら裁判所から通知が来てしまった

裁判所からある日突然、書面が届いたら…。ご自身で対応できるでしょうか。

借金の返済が滞ったまま、解決できずに長期化してしまうと、債権者から裁判を起こされ、給料や預貯金などの財産を差し押さえられてしまうかも知れません。

しかし、早急に対処すれば差し押さえを回避できる可能性もあります。そこで、このコラムでは、裁判所から書面が届いた場合の対処方法について解説します。

裁判所からの書面を放置するとどうなる?

まず、裁判所からの書面は必ず受け取ってください。ご相談いただくお客様の中には「怖いから捨てた」「受け取らなかった」とおっしゃる方もいるのですが、これは間違った対応です。余計に状況を悪化させてしまうだけですので、必ず受け取って中身を確認して下さい。

裁判所からの書面は特別送達で送られてくる

裁判所からの書面は、特別送達という方法で送られてきます。これは、受取拒否ができない特別な郵便物で、原則として、宛名の本人に手渡しで届けられることになっています。また、ご家族が受け取った場合も、配達されたとみなされます。

受取人が不在の場合は、不在票が入れられます。郵便物の保管期間は1週間ですので、必ずこの期間に再配達を依頼し、受け取ってください。

再配達も受け取らなかった場合は、付郵便送達と言う、発送された時点で送達されたものとみなす方法が取られます。また、公示送達と言って、裁判所の掲示板に公示することで、送達したとみなす方法もあります。

つまり、裁判所からの書面を拒むことはできないということです。実際に書面を受け取っていなくても、裁判所は「書面を届けた」とみなします。

裁判所からの書面を無視しても、裁判は進んでいく

お客様の中には、裁判所からの書面を「受け取っていない」「怖いから捨てた」「読んでいない」とおっしゃる方もいます。しかし、書面を受け取っていなくても、読んでいなくても、裁判は進んでいきます

裁判所からの書面をこのまま放置してしまうと、債権者の言い分がすべて認められ、最終的には差し押さえが確定してしまいます。

支払督促申立書が送られてきたら

裁判所から支払督促が届いたということは、債権者が裁判所に申立てを行い、金銭を回収する権利を認めてもらう手続きを行ったということです。これは債務者の財産を差し押さえるための法的な手段です。

裁判所から支払督促を受け取ったら、2週間以内に異議申立書を送り返さなくてはいけません。これを放置してしまうと、債権者の言い分がすべて認められ、財産を差し押さえられる可能性が極めて高いです。

債権者が裁判所に申し立てを行ってから、差し押さえに至るまで、概ね下記の流れで進みます。ご自身で異議申立書を提出し、裁判による和解をすることも可能です。

訴状が送られてきた

裁判所から訴状が届いたということは、債権者が裁判を起こしてきたということです。訴状を受け取ったら、内容を確認し、裁判所が定める期日までに答弁書を送り返さなくてはいけません。

訴状を放置してしまうと、債権者の言い分どおりの判決が出てしまいます。そして、この判決に基づいて差し押さえをされる可能性があります。

債権者が裁判所に訴訟を申し立ててから、判決が確定するまで、概ね下記の流れで進みます。答弁書を返送後、裁判に出廷し、分割支払いなどの交渉をすることも可能です。

判決が確定する前に解決しなくてはいけない

裁判所から書面が届いたら、判決が確定する前に解決しなくてはいけません。解決方法は下記の3つです。

・借金を全額返済する
・裁判に出廷し、債権者と和解する
・債務整理をする

借金の返済が何ヶ月も滞っているということは、生活自体も苦しくなっているのではないでしょうか。そんな中で、差し押さえを受けてしまうと、生活面でも精神面でも余計に追い詰められてしまいます。

差し押さえを避けるためにも、裁判所から書面が届いた時点で、早急に解決に向けて動きましょう。支払督促の異議申立書の期限は2週間です。迷っているうちに期日が迫ってきます

ご家族やお身内の援助が望めるのであれば、借金を全額返済するのもひとつです。ご自身で裁判対応ができそうであれば、裁判に出廷し、和解交渉をするのもひとつです。

返済できる当てがないのであれば、債務整理を検討されてはいかがでしょうか。

債務整理で借金問題を解決する

「債務整理」とは、借金を減額したり、支払いに猶予を持たせたりすることによって、借金問題を解決する手続きのことです。

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産があり、借金の金額や財産の状況によって、どの方法を選ぶかが変わってきます。また、借金の減額幅やメリット・デメリットにも差があります。

任意整理

金融会社と利息の減免と返済回数について交渉し、返済の負担を軽減する方法です。概ね元金を36回~60回分割で返済することになります。

任意整理は裁判所を通さないため、家族に内緒で手続きを進められる財産を残すことが可能など、柔軟な対応が可能で手続きも比較的簡易です。

個人再生

裁判所に申し立てを行い、債務を1/5もしくは最低弁済額100万円まで圧縮する方法です。

個人再生はすべての債務を手続きの対象にしなくてはいけません。しかし、住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローンを手続きから除外することが可能です(利用には条件があります)。

自己破産

裁判所に申立てを行い、すべての借金の返済義務を免除してもらう方法です。

自己破産は住宅や車など、20万円以上の価値のある財産が処分されます。また、手続き中は一部の職業に就けない、ギャンブルや浪費の場合は免責が認められにくいなど、いくつか制約があります。

差し押さえが確定してしまったらどうなる?

もしも、裁判所への対応を適切に行えず、差し押さえが確定してしまったら、何を差し押さえられるのか解説します。

差し押さえられる財産

差し押さえをされる財産は主に換金性のある財産です。

・給料
・預貯金
・車
・住宅

その他、現金、有価証券、生命保険の解約返戻金、バイク、不動産なども差し押えの対象になります。

給料は差し押さえの対象になりやすいです。特に大きな財産や預貯金がなくても、仕事をしている人であれば、確実に債権を回収できるからです。また、競売にかける必要もないため、手間が少ないことも理由の一つです。

ただし、給料の全額が差し押さえらえるわけではありません。給料は生活をする上で必要なお金ですので、差し押さえられる金額には下記の制限があります。

・手取り給与が44万円未満の場合は、1/4の金額まで
・手取り給与が44万円以上の場合は、33万円を超えた分の金額

例えば、手取りの給料が20万円の人なら、差し押さえられる金額は5万円までです。手取り給料が50万円の人なら、差し押さえられる金額は17万円までです。

差し押さえが禁止されている財産

法律によって差し押さえが禁止されている財産があります。

・本人名義以外の財産
・66万円までの現金
・生活に必要不可欠な衣類・寝具・家具など
・仕事に必要な道具
・仏像、位牌
など

債務者の生活の維持に必要不可欠な財産は、差し押さえが禁止されています。

差し押さえを解除することはできるのか?

確定してしまった差し押さえを解除するには、借金をすべて返済するか、個人再生・自己破産を行うかです。

しかし、すでに借金の返済が苦しくなっているのに、残りの借金を一括で返済するというのは現実的ではありません。また、個人再生・自己破産は裁判所に申立てを行う必要があり、手続きに時間も手間もかかります。

どちらにしても難易度が高いです。そのため、裁判所から書面が届いた段階で、早急に対応する必要があります。

まとめ

裁判所から書面が届いたら、必ず受け取って中身を確認して下さい。

借金の督促や訴状を放置してしまうと、本人不在のまま差し押さえの判決が出てしまいます。書面を受け取っていなくても、中身を見ていなくても、裁判は進んでいきます。

また、裁判所が定める期日までに対応をしなくてはいけません。延滞している借金をすぐに返済できる見込みがないのであれば、認定司法書士・弁護士に相談されたほうが良いでしょう。

差し押さえの判決が出る前に、債務整理をして借金問題を解決できれば、差し押さえを回避することが可能です。

アヴァンス法務事務所は創立以来15年、借金問題の解決を専門にしています。「借金が苦しい」「裁判所から通知が来てしまった」など、ご自身での解決が難しいなら、まずはお気軽にご相談ください。

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